生徒会役員!?①

「では今日は生徒会役員を決めます。立候補したいひとは……」


 ある日のホームルームで、クラスの学級委員長が話しはじめたとたん、はい、はい! と手があがった。

 それも女子ばかり。


 梓は不思議に思った。

 どうしてみんなこんなに役員なんてやりたがるのだろうか。仕事はたくさんあるし、部活や遊ぶ時間も減ってしまうのに。


「ねぇ、役員になると、なんかいいことあるの?」


 隣の席の楓にそっと聞いてみた。

 楓は手をあげていなかったのだけど、ちょっと不思議そうな顔をした。


「え、知らないの?」


 どうも、知っていて当たり前のようだ。梓のほうが首をかしげてしまう。


「だってお兄ちゃんじゃん」


 しれっと言われたけれどもっとわからなくなった。お兄ちゃんがなんだというのか。


「梓のお兄ちゃん。小鳥遊先輩がいるからだよ」


「えっ、そうだったの?」


 渉が生徒会に所属していたなんて知らなかった。

 楓はちょっと不審そうな顔をした。


「そうだったのどころか。小鳥遊先輩は生徒会副会長だよ。お兄ちゃんなのになんで知らないの?」


「え、えええ!」


 つい声をあげてしまって、すぐにはっとした。

 慌てて口をふさぐ。

 周りのクラスメイトがちらっと梓を見たけれど、すぐに自分が自分がとアピールするのに戻ってしまう。

 男子は興味がなさそうだったし。生徒会役員は男女一人ずつだけど、わざわざそんな面倒な役はしたくないようだ。

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