一緒の登校①

 一応着ていた制服を、しっかり着られているか鏡で確かめた。

 渉と同じ制服の、女子制服だ。

 ワインレッドのチェック柄のスカート。

 白いブラウスに赤いリボン。

 上は紺のジャケット。

 高等部は渉の着ているように緑だけど、中等部は赤系だ。どちらもとてもかわいいけれど。

 朝ご飯のときは着ていなかったジャケットもちゃんと着て、ボタンも全部留めた。

 だらしのない着方などしない。どちらかというと優等生だし……『お兄ちゃん』の妹としてしっかりした格好をしないといけない。

 顔も洗ったし、髪もとかした。歯みがきもした。用意は完璧。

 さらさらの茶色の髪は結ばない。学校で体育の時間だけゴムで結ぶことにしている。

 前に通っていた学校では結ばなくてはいけなかったけれど、今の慶隼学園ではそんなことはなかった。

 なので、せっかくだからとおろすことにしていた。なんだか結ぶよりも大人っぽく見える気がするし、制服がオシャレなので、こっちのほうが似合う。

 うん、今日もかわいくできた。

 梓は満足して、鏡の前でにこっと笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る