主人公・アイリス嬢を取り巻く人々がそれぞれ個性的な魅力を湛えていて、「その人らしい言動」が物語を牽引しているようすがとても気持ちよかったです。
特に私がご登場のたびに心でスタンディングオベーションを送っていたのが、レナード王太子殿下やその側近ルカス様の幼馴染である公爵令嬢のドロテア様です。
ご登場前には勝手に「楚々とした完全無欠の貴族令嬢」みたいなお嬢様を思い描いていたのですが、いい意味で裏切られました。
一途でしたたかで面倒見がよく情け深い……それはもう、常に情熱とエレガントをその身にまとっていらっしゃる、という感じなのです。
他の皆さんも、言動や役割にしっかりとした個性の裏打ちがあって、語り手でもあるアイリス嬢にそれぞれの個性を誤解なく見極める聡明さがあることも加わって、本当に鮮やかに息づく人々の物語を楽しむことができました。
最後になりましたが……読み進めながら、押し寄せてくるときめきを一人では抱えかねて、電子書籍のメモ機能に思いを吐露するがごとくぼそぼそと応援コメントを送りまくるという真似をしてしまいました……まさか作者様からお返事がいただけるとは思っておらず、大変恐縮しております。本当にありがとうございました!