五首【帰り道 振り振り帰る 水銀燈 家の間近で 重なる視線】
朝が遠い。
どれ程歩いただろう。
終電の時刻はとっくに過ぎている。
田舎の山間に二十四時間営業の気の利いた店などはない。
私は何処にも逃れる事が出来ず、ひたすら暗闇の中を電灯から電灯へと逃げ回っている。
気配を感じたのは駅からしばらく歩いたころのこと。
振り返れど何かいるはずもなく、恐怖に憑かれた私は家路を急いだ。
家の前でもう一度振り返った時だった。
電灯の影からこちらを覗く、白い人影と目があった。
歯をむき出しにして嗤うその表情に、私の本能が警鐘を鳴らす。
『あれに家を知られてはイケナイ』
それから私は当て所無く、暗闇を彷徨っている。
朝が遠い。
私は逃げ切れるだろうか…?
帰り道 振り振り帰る 水銀燈
家の間近で 重なる視線
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます