第28話

   明日菜の告白5



 夏休みが終わりそうで、彼と会うことにした。


 私は地元の公立に行くつもりで、高望みはしていないし、彼が通う夏期講習に通うような学力でもなかった。


 だから夏休み、会えなくなるのは仕方ないと思っていたけれど、彼の夏期講習も終わり、私が会いたいというと、彼は家まで来てくれた。


 母は働いているし、祖母もパートにでるようになった。唯一の孫である私を、大学に行かせるのが、祖母の目標となった。成績が伴わず、申し訳ない限りだけれど、昼間は一人になることが多い。


 屋根裏の、私の部屋にさそう。


 部屋に入ると、たまらず私は彼を求めた。


 荒々しく唇を貪り、敷いておいた布団に押し倒す。


 我知らず、私は涙が流れていた。


「何で泣いているの?」


「アナタと会えなくて……、寂しくて……」


 素直にそんな言葉がでた。彼の重荷になるつもりはない。だって、恋人ですらないのだから。


 でも、彼が他の子と関係すると、やっぱり悔しいと思う気持ちが強くなっていた。


 否、嫉妬か……。


 私と彼は、歪な状態ではじまった。私は淋しくて、彼にすり寄り、彼は私の体を求めてきた。……いや、私の方からその関係を求めたのだ。そうしないと、彼が離れていってしまいそうだったから。


 彼は激しく求める私にも応えてくれる。まるでケモノのように絡みあい、私は久しぶりの感覚に、身体を震わせて絶頂に至った。


「ごめんなさい。こんな形で求めてしまって……」


 私はまた泣いていた。それは歓喜の涙も混じっているけれど、感情がぐちゃぐちゃになっていて、何で泣いているのか? 自分でも分かっていない。


 でも彼は優しく、頭を撫でながら「大丈夫だよ」と応じてくれる。


 彼はいつも大人びていて、私をそういって包んでくれる。


 私は彼を感じたくて、彼の上になって、彼にしっかりと抱き着いた。私もだいぶ胸が大きくなった。それを彼の胸の辺りにおしつけ、彼の足をしっかりと私の足がはさんだ。


 彼は首すじにキスマークをつけられることを嫌う。


 それは中学生でそんなものをつけていたら、まずいことぐらい分かっている。でも少しいたずらをしたくなった。


 彼の耳たぶを、まるで飴を舐めるようにぺろぺろとしゃぶる。


「何をしてるんだ?」


「ん? んふぅ~……んん」


 もし耳が赤くなっていたら、私と今日した、との痕跡をのこせるかしら……?


「やめろって……。やめ……、もう赦さんぞ。こうしてやる!」


 彼はそういうと、私のお尻のほっぺたを思いきり、ぎゅッ、ぎゅッと鷲掴みにしてきた。


「あぁ……、ダメ。嫌、やめて!」


 そういうけれど、私はそう思っていない。でもまた気持ちが盛り上がって、したくなってしまう。


 そろそろ祖母が帰って来る時間だ。また彼としばらく離れ、したい気持ちが募ったら……。もう一回、早く済ませて……。私はまた、彼に荒々しくキスをし、つづきをせがむように、それを自ら私の中に導き入れた。

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