第24話

   朝陽の告白7


 受験勉強をする夕陽の邪魔をしないようにしたいのに、彼は私を求めてくる。


 妹の祐奈がいてくれてよかった……。そうでなかったら、生活はかなり乱れていただろう。


 祐奈がいると、夕陽も無茶なことはしない。まだ家族になって日も浅く、遠慮しているからだ。


 私が夕食を作っていると、キッチンに入ってきた夕陽が、いきなり後ろから私の胸を鷲掴みにし、荒々しく揉みしだく。


「や……、やめて」


 口ではそういうのに、手で払うことはしない。それは料理中で、手が放せないからではなく、拒絶するのを、拒絶する心理がそうさせる。


 夕陽もそれが分かっているから、手をどかそうともしない。


 私は、夕陽のおもちゃ……。


 でも、それは私のした結果であって、抗ってはいけないのだ。


 そのとき、階段を下りてくる音がする。さっと夕陽も離れた。


「ご飯まだ~。あれ? またお兄ちゃん、リビングにいるの?」


 夕陽はすでにリビングのソファーに移っていた。


「ここの方が勉強できるんだよ」


「また~。お姉ちゃん子だからね。お兄ちゃんは」


 祐奈はそういって、自分はさっさとダイニングテーブルにつく。両親は相変わらず仕事が忙しくて、帰りはいつも遅い。


 父親は理屈をつけて、土日も会社に行っている。仕事ではなく、管理だけ……とするが、とにかく家にいたがらない。母親はそこまで会社人間ではないけれど、毎日9時頃に帰宅し、土日もどちらかを隔週ぐらいで、出社している。


 この家は基本、子供だけ。


 だからそのヒエラルキーが重要となる。


 夕陽はお姉ちゃん子ではない。私たちは姉弟の関係でもない。男女……でもない。


 否、その関係は男女だけれど、心のつながりは夕陽が主で、私が従だ。


 祐奈がお風呂に入ると、私をキッチンの台に手をつかせ、スカートをたくし上げると、彼は後ろから挿入してきた。


 でも、二、三回動いただけで、彼はすぐに抜いてしまう。


 気持ちよさとか、そういうことではない。繋がりを確認したいのだ。


 だから私も拒めない。これは性行為とはちがう……。私たち姉弟が、確実にそこでつながっている……と確認するための、儀式のようなものだから。


 でも、もう止めなくては……。


 私は下着を上げながら、そう思う。彼も男になった。もう子供ができる歳、来年には高校生なのだ。


 もし私たちの間に、子ができてしまったら……。


 それは家族としても、姉弟としてもお終いだ。家族を確認する行為で、それを壊してしまう……。


 だけど、きっと夕陽はそれを望んではくれないだろう。


 彼にとって最良だと私が考えることは、彼にとってそうではない。そう分かっているから、何もいえなくなる。


 でも、私が始めてしまったことだから、私が決着をつけないと……。


 夕陽がでていったキッチンで、私は自分の下着が、中途半端で終わったのに濡れていることを感じ、そんなことを考えていた。


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