第12話

   水穂の告白3


 夕君が、色々な女の人と関係することは、特に問題ない。だって、どうせ心のない関係だから。


 ただ、あの関係だけは気になった。


 それが、夕君に新しい家族ができたことだ。


 二つ下の祐奈は、夕君にべたべたと接する。血のつながりはない、家族と言っても両親が結婚したから……だけでしょ?


 しかも、何だか夕君のことを監視、観察するような動きをみせる。


 おかげで、夕君の家でできなくなった。


 二つ下の祐奈が、先に帰っているからだ。しかも引っ越しをしたこともあり、習い事などが一旦リセットされた。その後、再開する気もないようだ。


 つまりずっと家にいる。転校もしたので、まだ友達もおらず、遊びに行くようなこともない。


 朝陽お姉ちゃんは年上で、高校も地元というわけにはいかず、家にいる時間は限られた。でも妹はちがうのだ。


「学校ですればいいじゃん」


 夕君はそういう。バレたときが大変だし、その冒険心を愉しんでいた時期もあるけれど、今は高校進学を考えると、変なことで内申に傷がつくことを怖れる気持ちも芽生えていた。


 でも、そんな常識で欲望が収まるはずもなく、私たちは学校でする場所を色々と考えるようになった。


 小学生のころはトイレですることが多かったけれど、中学生になると、部活動をしている生徒もいて、人の来ない場所をさがすのは大変だ。


 お母さんは多分、私がエッチをしていることを知っている。だって、他の子と比べたら、腰つきとか私の方が断然、大人っぽい。胸だって自信がある。そんな変化を母が気づかないはずもない。


 でも、何も言わないのは、別に私が遊んでいるわけでないから。大好きな夕君と、それをしているだけだから……。


「うちでしようか」


 私はそう提案した。


 あまり好きではないけれど、大人になりつつある私たちの体は、昔のように隠れてするにはふさわしくない。


 夕君はよく私の家にくるようになった。勿論、エッチをするために……。


 夕君は愛撫をしっかりしてくれる人だ。だからこそ、学校で慌ただしくするのが嫌だった。それは夕君が、相手のことを考えてくれている、そう思わせるものだから。


 でも、彼はいつもどこか寂しさを感じている。愛撫を入念にしてくれるのも、女の子との一体感を求めているから……と考えている。


 相手を征服して終わり……ではなく、一緒に昇天することで満足する。だから彼とのエッチは気持ちいい……。


 そして、だから他の子とエッチをしても、私は赦している。


 彼のその深い孤独、寂しさ、それを私一人では埋められない……。埋めてはくれない……そう思っているから。


 

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