第10話
朝陽の告白4
夕陽が色々な女の子と関係するのは、薄々気づいていた。
幼馴染の水穂ちゃんとは、すでにそれをしているのを見たこともある。それ以外でも、そう感じさせる関係がいくつもあった。
母親がおらず、姉弟で過ごすことも多くなり、携帯電話を買い与えた。動画やゲームにはまることはなかったけれど、通話料金はいつも多かった。そういう子たちと連絡をしていたのだろう。
ちらりとみたら、メールやLINEの登録も多くて、常にだれかと連絡をとりあっているようだ。
それも、母親がいなくなったせい……、そう諦めていた。
だから私が、そんな彼の心のすき間を埋めようと、私は求められる限り、それに応じてきた。
でも、そんな私たちに変化が生じた。
父親が再婚したい、と言い出したのだ。相手はシングルマザーで、私たちに妹ができる、という。
父親がすることに、私たちが文句をいえるはずもない。また、夕陽にとっても、母親ができることはいいこと……と考え、私は了承した。
でも、夕陽はそうじゃなかったようだ。
それまで一緒にお風呂に入っていたけれど、それを止めようと言ったら、突然怒りだす。
私のことをベッドに突き飛ばして、覆いかぶさってきた。
「ら、乱暴にしないで」
私はそういうのが精いっぱいだった。夕陽は荒々しく私を求めてきた。
2人だけだったこの家に、他人が入ってくる。それが彼には嫌なのだろう。
でも、いずれ分かってくれる。夕陽にも母親が必要だ、ということに……。
だけど、本当の母親でもない相手に、いきなりこんなことをしたら、きっと驚かれるだろうな……。
夕陽は右手で私の左の乳首をいじりながら、右の乳首に吸い付いてくる。赤ちゃんみたい……。
でも、本当に小さいころに母親とそれを経験できなかったから、仕方ないと思っていた。それに、新しい母親が来たら、こんなこともしていられないだろう……と思っていた。
だから、もうこれが最後……。夕陽の気のすむまでやらせてあげるつもりだった。
それからしばらくして、相手と会った。きれいな人だ。でも、子供を育てるために働いており、それは結婚後もつづけるらしい。
そして彼女には娘がいた。それが祐奈だった。
「よろしくお願いします♥」
彼女は一人っ子と聞いていたけれど、人懐っこい笑顔でそう挨拶してきた。
父親は仕事人間で、夜は遅くに帰ってきて、朝も早くでかけてしまう。
そんな家で、母親と祐奈、二人の女性が家に加わったのだ。
私は不安を感じた。女性といえば幼馴染の水穂ちゃんなど、免疫がないわけではないけれど、家で男が一人として過ごさなければならなくなったからだ。
心配し過ぎかもしれないけれど、私との関係が歪だからこそ、また女の子との付き合い方も、ちょっと人とはちがっているような子が、こうして女性ばかりとなった家で過ごす。
何かおかしなことが起こらないだろうか……? それは家族に対して……だけではなく、周りの女の子に対しても、悪い影響がでるのではないか?
私は一抹でない不安を感じていた。
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