第7話

   亜香里の告白1


 公園でお兄ちゃんと遊んだ日――。


 私はそれがどういう行為か、知っていた。お姉ちゃんが赤い顔して、恍惚の表情を浮かべて、男の人の上で跳ねる行為を、私は別のところ見たことがあった。


 だからわざと、私もそれをしてみた。


 しかし下着をつけたままうける刺激では、中途半端だった。彼のそこは硬くなっていたけれど、その刺激が私の外輪部に与えてくるそれを、私は気持ちいいと感じたけれど、物足りなかった。


 だから公園の近くで、またお兄ちゃんをみつけたとき、私は走り寄って声をかけるとき、笑顔を浮かべていた。


「ねぇ、あの時と同じこと……して。彼女に……お姉ちゃんにしていたのと同じことを……」


 お兄ちゃんはちょっと驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに笑って受け入れてくれた。


 私はあのときとちがい、自ら下着を下ろした。母親が買ってくれた白い下着は、汚したくなかった。だからお兄ちゃんに「もっていて」と手渡し、私はお兄ちゃんにまたがった。


 お兄ちゃんは私の腰を導くように手で修正しつつ、ベンチの後ろにすわった自分の上に、私を下ろしていく。


 ぎゅっと握った手に、無理やり指をつっこんでくるような、それをもっと痛くしたような感覚で、お兄ちゃんが入ってきた。


 お母さんとあの人は、これをしていたんだ……。


 私の家には、たまに男の人が遊びにきた。そのとき私は早く寝かされた。眠るよう仕向けられた。


 私もすぐに眠った。しかし二部屋しかないアパートで、薄い襖で仕切られているだけで、音が漏れてくる。


 目を覚ました私が、その声に導かれてそっと覗くのも無理からぬことだった。


 そこで見てしまった。お母さんが、男の人の上で、私にはみせないような表情を浮かべて、裸で跳ねているのを……。


 気持ちいいんだ……。


 私はそう思った。そして、私もいつかそれをしてみたい、と思っていた。


 だから公園で、お兄ちゃんとお姉ちゃんが隠れて、あのときと同じことをしているのをみて、自然と近づいてしまった。


 今度こそ、私も……。


 お兄ちゃんのそれは大きくて、私のそれは小さかった。


 体の中にあるお兄ちゃんを、取り除きたいという自然な欲求と、お母さんが感じていた、あの表情の意味を知りたい欲望とのはざまで、私は腰を動かした。


 下からはお兄ちゃんが、私の動きをサポートするように腰を跳ね上げてくれる。


 少しずつ、お兄ちゃんのそれが私の奥へ、奥へと入ってくる。


 あれ? 何かちがう……。奥へととどくと、その刺激が私の中で加速度的に増幅される。


 気持ちいい……とまでは言えないけれど、この浮遊感とともに、私は心が浮いてくる気がした。


 何も考えられなくなっていく……。痛みとか、お母さんのこととか、どこか遠くへと置き去りにされ、ただただ突き抜けてくる刺激に、何も考えられなくなっていく。


「う~ん……」


 私の脳内の隅々まで、真っ白な感覚がひろがって、白痴のように何も考えられなくなった。


 彼は腰の動きをとめて、私を支えるように抱き締めてきた。


 何も考えられない、考えたくない私は、唇をふさがれた。


 そっか……。女の子として、ファーストキスがまだだった。お母さんがしていなかったから、忘れていた……。ま、いっか。


 私は彼に身をゆだねつつ、私のまだ膨らんでいない胸を、彼がさするようにさわってくるのも、むしろ嬉しく感じていた。


 だって、お母さんたちもそうしていたから……。







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