第3話

   水穂の告白1


 私と夕君が出会ったときのことは憶えていない。気づいたときには一緒にいて,、隣で遊んでいた。


 いつからキスをしていた? それも憶えていない。小さいころからしていて、気づくとしていた。 だから私にファーストキスの思い出はない。


 でもそれは大好きな夕君とだから、決して嫌じゃなかったし、むしろ嬉しかった。


 大人から怒られること、と知っていた。だから隠れてしていた。


 そんな夕君から「面白いものをみつけた。一緒にみよう」と誘われたのは、ちょうど小学二年生になったころだ。


 彼の家には、よく一人で行っていたし、そのときもそうだった。


 でも、ブルーレイディスクを入れて、そこに映像が流れたとき、私は正直、とても驚いた。


 夕君とはいずれ、そういうことをすると思っていた。だから嫌ではない。でも正直早い……とは思った。


「これと同じことをしよう」


 だからそういわれたときも、素直に「うん」と応じたものの、戸惑いがなかったといえばウソになる。


 小さいころから一緒にお風呂に入っていたし、裸になることに違和感はない。でもそのときは、ちがうドキドキがあったのを憶えている。


 お風呂に入るのとは、ちがう……。自然と昂揚する自分がそこにはいた。


 映像の中では、大きなお胸の女性が、それを男の人に揉まれ、舐められ、吸われて身悶えする。


 夕君もそれと同じように、まだほとんど膨らんでいない私の胸を愛撫する。


 気持ちいい……のかな? 何だかくすぐったい方が強い。


 でも、夕君にはどう見えているのかしら? 私の胸……。弟が生まれて、お母さんが授乳する姿をみるけれど、私も……。何だか、いつも私より大人な夕君が赤ちゃんみたい……。


 私の胸にむしゃぶりつく夕君の頭を、優しく撫でる。


 お母さんに「赤ちゃんがでてくるところ」と教えられたそこに、夕君の指が伸びてくる。


 あれ? 鼓動が早鐘のようになり、私の中でそれがこれまでとちがう……と教えてくれているようだ。


 ギュッと閉じられたその入り口をさぐるように、夕君の細くしなやかな指が、周りを這いまわる。


 ううん、そこじゃない……。そこ……。あ! 入ってきた……。


 自分の中に、他人がいる不思議――。

 でも、それが夕君だから、嫌じゃない……。


 テレビの方から、甲高い喘ぎ声が聞こえてくる。そんな大きな声をだす?


 もう画面なんて見ていられない。でも、その盛り上がりは夕君から私にも伝わってくる。夕君の息遣いも上がってきた。


 夕君がすべての動きを止め、寝そべっている私と、顔の位置を合わせてきた。


「行くよ」


 それが何を意味するか? よく分かっていなかったけれど、私も頷く。


 あ……。さっきまで、夕君の指が入っていたところに、別の何かが入ってきた。温かくて、でもちょっと湿っていて……。


 え……? 深くまで、奥まで……。痛い……とは感じないけれど、無理やり私の中を覗き見ようとするような……。


 痛……ッ! 急に頭にちくっとするような痛みが襲ってきた。


 夕君が動くたび、痛……痛……痛……と、私の中で痛みが大きくなっていく。


 でも、痺れるようなその感覚、私の中で増幅され、やがて私の中を真っ白に染めていく……。


 何も考えられなくなった私は、そのリズミカルに突き上げてくる振動、行ったり来たりする彼の感触、そんなものに自然と身を委ねて、何も考えられなくなっていく。


 気持ちいい……。夕君、大好き♥ それだけが私の中で広がっていった。








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