あああああああああああああああ
「ち、なーにが剣聖だよ。村人よか全然よえーじゃねえか」
剣聖鈴木がブー垂れている。
「いや、そうでもないぞ。あのヤワラは剣の振りを知らないヤツはかからないからな」
珍しく朽木が話しかける。
「俺を軽く投げ飛ばしたヤツに言われてもなあ・・・つかシロートのがかからねえて何よソレ」
「心得の無い者なら第4.5中手骨と手首・・・尺骨まで折れて肘から先動かせなくなる」
うあーやめてくれ・・・
ゾッと背筋が寒くなる。なんかヒジにまでキリッ!と割り裂かれるような痛みが走ったような気がする。
「・・・もうお前にゃ近づかねーぞ」
「そうか」
なんか目に見えてわかるくらいガッカリしながら離れる村人、朽木。
こーゆうのが続いて闇落ちとかすんじゃなかろか・・・
僕に何かできることは無いか、そう思うとふと頭に白いカタナが浮かぶ。
ワイルドスミスて野鍛冶のことじゃないの?刀なんて打てるのかな。
そう疑問してしまうが、刃はクロムと炭素マシマシ、身幅は広く、刀身自体はニッケルを加え靭性を、鞘にはメンテナンス機能が・・・などとつらつらと素材の分子構造や材質のバランス、ゲームアイテムぽい妄想うんちくなんかが浮かんできてイメージが固まった途端、まるで排泄物を分離するような感触と共に白いカタナが手の内に現れた。
うーん、美しい。
なんかあげるのが惜しくなるが、僕がもってたって精々奪われてこの身を試し斬りされるのが関の山て感じだし、仕方ない。
「朽木、これあげるよ」
「ほむ」
ほむ?
朽木は受け取ると、スラリ音もなく抜いた刀身を矯めつ眇めつ、そしてまた音もなく納刀した。
と、思うと時間が数舜前にもどったかのように、また納刀する。
あれ?抜いたのが見えなかったのか??
目を凝らすが、また再び突然ゆっくりと納刀する様が見える。
突然、世界が裂けたかのようなおならの音が炸裂した。
「うおっ」
「なんだ?!」
鎧奴達がのじゃ姫様を囲む。
防御円陣!てアレだろうか。
さらに炸裂音。
これは、雷の音か?ドイツ語でブリッツ。
ドイツ人はおならの音がするから雷にブリッツとつけたのだろう。
ていうか、朽木から聞こえるし、ヤツのおならではないだろうか。
再び破裂音。
風船が破裂したような、ムチで革をはたいたような、そんな音が数回続き、最後に風鈴や鉄鈴のような澄んだ音が鳴り響き、止まった。
「ありがとう。いい刀だ」
え?今の抜刀の音なの??
「おい!村人に武装は不要だ、よこせ!」
鎧奴がガチャガチャと近づき、朽木に手を伸ばす。
「ひゃっ」
おもわず叫んでしまうくらい怖い。
しかし、やはりというか、鈍い打撃音の後、すんげーデカい音をたてて床に打ち据えられてしまった。
一瞬痙攣した後、喉を抑えながらもがき始める。
「・・・同じ高校生とはおもえねーわやっぱ」
「なんかお祭り気分が急速にヘコんだよなあ」
勇者とか剣聖とか夢のクラスのありがたみが水っぽく薄まってしまっている。
いったいどうなってしまうのか・・・
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