2.Lv.35 -7 本試験日
「いよいよですね!」
彼女をしかめっ面で見つめる。
「なんて顔してるんですかー、私なら大丈夫ですよー」
目の前には洞窟の入り口が見える。これが今回の試験場。
「辛気臭い顔だなぁ。あんなに練習付き合ってあげたじゃないですかー」
いや付き合ってあげたの俺。頑張ったのお前。別にいいけど。
「むしろ練習見てたから不安が……」
「もぉー大丈夫ですってー」
……今回の俺の仕事は試験官。だが、そもそもの依頼は彼女を試験に合格させる手伝いをすること。彼女を心配させる振る舞いをするようなら、依頼を受けた俺が二流か。
「合格したら何くれますー?」
「フラグになるからその話はやめろ」
「えー?」
彼女の飛び級の実地試験において課された課題は三つ。
一つは、一定量以上、一定以上の質の魔石の納品。一つは、各チェックポイントの通過。そして最後には、定められた特定種の魔物の討伐。
不安は残るが、対策はこの日までにしっかりとやって来ている。後は天命を……いや、彼女の頑張りを祈ろう。
今回の実地試験は洞窟が舞台であり、彼女はいそいそと突入の準備を整える。取り出したライトを肩に取り付け、いつでも戦えるようロッドも組み立て腰に差す。
「まぁ、お前が好きなのやるよ」
「え!? 何でもいいんですか!?」
「あぁ」
高いのは無理だが、実はこの子はそんなに非常識な子じゃない。ぶっ飛んだ要求はしてこないだろう。少しくらい高くても……まぁ頑張ったしな。
「あー……でも、私が欲しいのまんまだと、やっぱり味気ないっていうかー」
「じゃあ……適当に考えておく」
「本当ですか!? 楽しみにしてます!」
失敗のビジョンとか存在しないのかこいつ。吹っ切れてお気楽なのはいいが、吉と出るか凶と出るか……やっぱり、少しくらい気を引き締めさせた方が良いか? ……まぁ、いつもの彼女なら、それでいいか。
「全部受かってからな。今は目の前の試験に集中しろよ」
「あいあいー」
……試験官への不遜は減点対象ではないので、見逃すことにする。
「準備はいいか?」
「ばっちりです! 飲み物飲んでいいですか?」
「駄目な時間ねーよ。さっさとしろ」
こきゅこきゅと、小さな喉が上下する。
「ぷはぁ!」
「……なぁ、もう始めていいか?」
俺も試験官の手順忘れそうで怖いんだけど。
「いいですよー」
……試験開始っ!!!
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