モデル仲間の美人な子④
北斗はそれに気付かなかなかったのか、どうなのか。美波を示して、紹介してくれた。
「ああ。幼なじみなんだ。美波」
北斗は美波のほうを向いて、多分、あいさつするようにという意味だろう、手をさし出した。
なのに美波はそれより、向坂という子の視線に、ぞくりとした。
なんだか一瞬、にらまれたように感じたのだ。
どうも『美波』に反応されたようだった。
でもそれは一瞬であったし、向坂という子は笑顔のままだった。
なんだったんだろう、今の。
美波はまだあまり落ち着かない気持ちだったけれど、うながされているのだ。ぺこりとおじぎをした。
「方野 美波です」
なにか付け加えようかと思ったけれど、『幼なじみ』は北斗が言ってくれたし、特にこれから交流もないだろうから、「よろしく」も違うだろう。よってそれだけになってしまった。
でも別になにも言われなかった。
次に北斗は、その子を示した。
「向坂
北斗の紹介も、普通だった。聖羅も小さくおじぎをしてくれる。
「ええ。どうも」
こちらも「よろしく」ではなかった。
ただ行きあっただけなのだから、別におかしくもないけれど。
「じゃ、悪いな。ちょっと急ぐんだ」
それだけで終わりになった。北斗はちょっと手をあげて、もう行くのだという様子になった。
聖羅は笑みを浮かべて、「ええ。またね」と言った。
でも美波にはやはり、その笑顔はなんだかあまり良くないもののように見えてしまって仕方がなかった。
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