モデル仲間の美人な子①

 翌日、午後一時半頃。

 美波は北斗の本日の撮影があるスタジオまで来ていた。

 北斗の仕事は一ヵ所だけではない。通うスタジオもいくつもあるし、外での撮影も多い。

 今日は近くのところでちょうど良かった、と北斗も言っていた。

 美波はスタジオ前のちょっとした広場に着いて、少しきょろきょろして、ベンチに向かって座った。

 スマホを確認しても、北斗からメッセなどは来ていない。つまりまだ終わっていないのだろう。

 別に待つのは構わないし、そんなに長くは待たないだろうし。

 まだ五月、そう暑くないので、建物の中でなくてもいい。

 それに美波は多分、スタジオ内には入れないだろう。

 北斗の関係者、とはいえるかもしれない。なにしろ、今、北斗が住んでいる家の娘なのだから。

 でもそれは秘密であるし、それを除けば『中学校の後輩』もしくは『幼なじみ』でしかない。それではきっとダメだろう。

 なのでおとなしく外で待つことにした次第。

 待つ間、手持ちぶさただったので、スマホをいじりだした。

 そこには北斗が映っている。雑誌の壁紙ダウンロードサービスでもらったものだ。

 北斗がやっぱりスタイリッシュな私服を着て、ポーズをつけて、画面の中で微笑んでいた。

 その笑みは美波が知っているものとは少し違って、そう、営業用、といっても良いものかもしれないけれど、それでもカッコいいことに違いはない。

 なんだか恥ずかしいから、壁紙には設定していないけれど、たまに画像フォルダから呼び出して、見てしまうのだった。

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