朝の学校で②

「朝から北斗くんを見られるなんてラッキー!」

 あずみは嬉しそう。

 そんなところにまさか朝、一緒に朝ご飯を食べてきたとは言えない。

 嘘をついているようであることにちょっと心は痛むが、北斗との約束である。

「あーあ、美波はいいなぁ。北斗くんと幼稚園から一緒なんて! 名前も呼び捨てで呼ばれちゃうし……」

 よく言われることを言われたので美波は苦笑してしまう。うらやましく思われて、当然だと思うけれど。

「いや、偶然だから……それに、小学校はほとんど別だったし……」

 本当であることを言っても、あずみは「それでもうらやましいよー」と言うのだった。

 あずみはもちろんであるし、ほかの友達などにも同じことを言われることは多くて、美波はその度にこう言うのだけど、それでもなんとなく感じていた。

 けんそんするようであるし、実際、自慢するつもりはない。ほかの子たちにねたまれたくはないし。

 でも確かに嬉しいのだ。

 北斗と幼なじみという関係でも仲良くいられることが。

 ある意味、特別といってもいいだろう。

 家での北斗はぶっきらぼうだけど、優しいところもあるし、幼なじみの男の子として普通に好きだし、良く思っている。

 だからそばにいられて嬉しいと思うし、北斗からも「美波」と呼ばれるのも同じなのだ。

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