朝の学校で①

「美波、おはよ!」

 教室に入ると、あずみにぽんと肩を叩かれた。

 今日のあずみは黒髪をポニーテールにしている。高い身長によく似合っていた。

「おはよう。あ、それ、【スターライト ティーンズ】の付録の……?」

 ゆらっと黒髪が揺れたとき、見えたもの。

 まとめているところに巻かれている水色のシュシュ。

 美波は見覚えがあった。

「うん! そうなんだ!」

 北斗の撮影見学の申し込みの用紙のために、あずみが何冊も買った雑誌【スターライト ティーンズ】についてきたものだ。

「すごくかわいいよ!」

「ありがと!」

 美波のほめ言葉に、あずみはやっぱりにこっと笑ってお礼を言ってくれた。

 そのあと、なにかに気付いたような顔をして、美波の腕をぐいっと引いた。

「ねぇ! 北斗くんだよ!」

「え?」

 つられて窓の外を見ると、グラウンドで「オツカレー!」と元気のいい声がしている。

 陸上部だ。

 もちろん北斗の姿もあった。タオルで汗をぬぐっている。

「今、朝練終わったみたいだね。頑張るねぇ」

 あずみは嬉しそうな声音になった。

 美波も嬉しくなってしまう。

 北斗の頑張っているところを見るのが好きなのだ。

 とても輝いていると思うから。

 それはモデルでも、陸上部でも同じだと思う。

 北斗が好きでやっていて、また本気で打ち込んでいるのがわかる。

 そのことがまた嬉しい。

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