同居の経緯①

 方野 美波、私立中央なかおみ中学校・二年生。

 勉強も運動も平均的な、ごく普通の女子中学生だ。

 見た目だって、飛びぬけて美人というわけでもない。ブサイクではないと思うけれど。

 サラサラの茶色の髪を背中に流して、身長はちょっと低め。

 人気でもネクラでもない、クラスに何人もいる女子生徒の一人である。

 そんな、ごく普通の女子である美波に最近起こった突然の事件が、今をときめく人気モデルの今角 北斗と同居することになってしまった、というものである。

 北斗とは、小学二年生まで近所で暮らしていた。

 一学年違って、北斗のほうが一歳年上であるけれど、幼稚園の頃から一緒なのだ。いわゆる幼なじみ、だろう。

 その北斗は、美波が小学二年生の頃に引っ越してしまって、住まいが離れてしまった。

 少し遠くの街だったので、それ以降の小学校生活は別だった。

 美波はとても寂しくなってしまったものだ。

 でも中学校の進学で、少し大きめの私立の学校に進学した美波はおどろいた。

 北斗と同じ中学だったのだから。

 そして北斗は小学校のときより、ずっとカッコいい見た目になっていて、中学で再会したとき、北斗はまだ二年生だったのに、すでに学校一のイケメンと女子の間ではうわさの的であった。

 おまけに小学校高学年からモデルとしてデビューしていて、その整った見た目から、即座に人気モデルになってしまっていたのだ。

 女子小学生とは読むような雑誌が違ったので、美波はそれまでちっとも知らなかった。そのことを北斗に知られたときには、「うといやつだな。だっせぇ」なんて怒られてしまったものだ。

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