秘密の同居生活③
美波は実際に首をかしげてしまった。
来たことに文句を言ったというのに、それは違うという。
北斗の言っていることの意味が、よくわからない。
なのに北斗はもう一度、ため息をついて、立ち上がってしまう。美波はその様子を見上げた。
「風呂、入ってくる」
風呂、という言葉にどきっとしながらも、美波はうなずいた。
「う、うん……どうぞ」
それだけで北斗は出て行ってしまった。美波の部屋から。
美波の部屋に、スウェット姿なんて格好でいて。
おまけにお風呂に入ってくる、なんて言って。
まるで住んでいるようだが、実際、住んでいるのである。
なにがどうなったか、北斗は一ヵ月ほど前から、事情で美波の家に暮らすことになってしまったのだから。
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