北斗の撮影会④

『ありがとう』の言い方は、わざとらしかった。

 美波の心臓が、やはりひやっとした。

 怒らせてしまった、ようだ。

 いや、自分が悪い。

 こんな場所で、いつものように言ってしまった自分が。

「はい。では次の子……」

 でもここで、これ以上話せない。

 マネージャーにうながされてしまった。

 美波は、すごすごと北斗の前から移動した。

 次は美波のうしろに並んでいたあずみ。

「ほ、北斗くん! とっても……素敵でした!」

 顔を真っ赤にしてそう言っていて、北斗は「ありがとう」と答えていた。

 その「ありがとう」の言い方は、もうすっかりさっきまでと同じものに戻っていた。

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