第8話
城の周囲は半壊状態になったが、あの惨劇から直ぐに人々は力を合わせて復興に取り組んでいる。
ブランシュ・ネージュは王国の復興作業に取り組んでいたが、彼女が得意とする氷魔法は復興作業には向いていなかった。代わりに物を浮かせられる簡単な魔法を使い瓦礫の撤去を積極的に行なっていた。
アリアドネは治癒魔法を使い怪我人を癒していた。
彼女は瓦礫の中から傷ついた人々を見つけると、
「もう大丈夫ですよ。」
優しく微笑みながら手を差し伸べ、
『ヒール』
そう唱えると、彼女の手には淡い光が宿り、それが傷ついた部位に触れると、癒しの力が広がっていく。
彼女の魔法は傷を浄化し、痛みを和らげる効果を持っており、優れた治癒魔法を駆使して復興作業にあたっていた。
アシュゴロスが暴れ回った痕跡は王国に深い爪痕を残している。
主に城の近くで暴れていたが、その被害は甚大で、犠牲者も数百人と言われている。
壊れた石造りの建物の残骸が広がり、亀裂の入った街路は、傷ついた王国の悲しみを物語っていた。
広場はアシュゴロスの荒々しい攻撃で破壊され、壊れた景色が広がっている。血の匂いが漂っていた土壌は、再び豊かな草花で満たされるには長い時間と努力が必要だろう。
民衆が住んでいた家もアシュゴロスの猛威に晒され、その破壊的な力によって押し潰されていた。屋根は引き裂かれ、壁は崩れ落ち、家族の宝物や思い出の品々は無残に地に散らばった。
傷ついた心を癒し、失ったものを埋めることは容易ではない。
惨劇から一週間が経過し、王国の復興作業は着実に進んでいた。街の中心部では、魔法学園の者や王国の魔法騎士たちが力を合わせて建物を再建していく様子が見受けられる。
魔法使いたちは素早く手を動かし、壊れた壁を修復し、崩れ落ちた屋根を再びかぶせていく。彼らは魔法の力を駆使し、石や木材を浮かび上がらせて正しい位置にはめ込む技術を見せている。
別の場所では、魔法使いたちが手を伸ばし、緑色の蔦を発芽させている。彼らの手元には小さな種があり、彼の魔法に触れると瞬く間に成長し、壊れた柱を包み込むように絡みつく。
魔法使いたちは協力し合い、各自が得意な魔法を駆使しながら、王国の街を再び蘇らせようとしている。魔法の力によって、崩れ落ちた建物は次第に元の姿を取り戻していく。
一週間の間にはまだまだ作業が残されているが、彼らは決して諦めず、魔法の力を最大限に発揮して復興を進めていく。王国の再生と共に、徐々に人々の心にも希望が戻っていくのであった。
ブランシュネージュとアリアドネは復興作業がひと段落し、城の近くの庭園でしばしの休憩をしている。
「氷姫様、ようやく復興作業がひと段落しましたね。」
アリアドネが微笑みながら言いう。
ブランシュネージュは深いため息をつきながら、遠くを見つめながら
「確かに、復興は進んでいるけど、亡くなった人たちまでは元に戻らないわ。」
彼女は静かに語った。
アリアドネはブランシュネージュの言葉に対して、優しく微笑みながら返答した。
「そうですね。失われた人々を取り戻すことはできませんが、私たちは、彼らが残してくれたもののためにも前進するのです。」
ブランシュネージュは深く考え込んだ後、微笑みを浮かべました。
「そうね、私たちは王国の未来のために立ち上がり、力を合わせなければならないのよ。信じる者たちの期待に応えるためにも、頑張らなくちゃ。」
ブランシュ・ネージュが決意を新たにした時、目の前にタキシードを着た怪しい雰囲気の男が現れた?
「ブランシュ・ネージュ様ですね。女王陛下から招待状が届いてます。」
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