第5話

 深夜の静かな寝室。私は突然の轟音に目を覚ました。心臓は高鳴り、何が起こっているのかを確かめるために即座に飛び起き、慌てて廊下へと急ぎ出た。


 廊下を駆け抜ける間、轟音がどこからか聞こえてきた。私は直感的に騒ぎが起こっている場所に向かわねばならぬと感じた。


 そして、私が駆けつけた場所は、城の近くにある広場だった。そこで私の目に飛び込んできたのは、巨大な悪魔が暴れまわっている光景であった。


 悪魔の姿は邪悪な輝きに包まれており、黒い翼を広げ、尖った牙を露わにしていた。真紅の、目が私を凝視していた。


 その悪魔の近くには多くの近衛騎士たちがいた。しかし、その姿は血に染まり、壮絶な戦いの痕跡が残されていた。

 王国の近衛騎士が守ろうとしていたであろう小さな子ども達も無惨な姿になって横たわっていた。


 彼女の心は、目の前に広がる光景によって深い悲しみに包まれる。

 壮絶な戦いの痕跡が残され、血に染まった近衛騎士たちと、無念な姿となった小さな子ども達の姿が彼女の目に映る。


 悲しみが彼女の内に広がり、涙が溢れ出るように流れる。なぜこんな悲劇が起こったのか、なぜ無辜の子供たちまでが巻き込まれたのか、彼女は深い疑問を抱く。


 同時に、怒りが彼女の内に湧き上がる。目の前の悪魔によって引き起こされたこの惨劇への憎しみが心を支配し、復讐心が燃え上がる。


「氷姫!」


 そう後ろから彼女に呼びかけたのは、彼女の従者アリアドネだ。その声は静かに、しかし、力強い呼びかけだった。


 続けてアリアドネは彼女の隣に立ち、


「氷姫。今は冷静になってください。」


 ブランシュネージュの胸が激しく上下し、アリアドネの目を見つめる。


「でも、あの悪魔は私たちの王国を蹂躙したの!絶対に許せないわ!」


 アリアドネは深く息をつき、ブランシュネージュの手を取りながら静かに言葉を続けた。


「私も怒りを感じています。しかし、私たちは魔法使いです。私たちの力を使えば、あの悪魔も倒せます。ただ、怒りだけでは何も解決しないのです。冷静になり、王国と人々を守るため私たちの力を最大限に発揮しましょう。」


 ブランシュネージュはアリアドネの言葉に心を揺さぶられた。彼女の中の復讐心と冷静さの狭間で葛藤が生じた。しかし、いつもの冷静な表情に戻り、


「アリアドネ、あなたの言葉は、いつも私を冷 静にさせてくれるわ。王国を守るため、あの悪魔を一緒に倒してくれるかしら?」


 アリアドネからの返事はなかったが、二人は力強く手を握り合い、固い絆を確かめた。復讐の心は冷静な決意へと変わり、彼女たちは王国と人々を守るため悪魔と対峙する。


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