氷姫と三英雄

第2話

影の正体は、この国の女王。

　女王の顔は繊細で整った特徴を持ち、透き通るような白い肌が印象的だ。長い黒髪は髪飾りで華やかにまとめられ、冷たい光を放つ蒼い瞳が周囲を観察している。

　彼女の振る舞いは堂々としており、それでいて細かな手の動きにまでも気品が感じられる。

　彼女が身に着ける衣装は、鮮やかな色彩と贅沢なデザインが施されたローブで、その豪華さは彼女の地位と権威を象徴している。

　一目で女王とわかるその風格は、彼女が統治する王国の支配者としての威厳を際立たせている。

　その美しさは隣国の王子ですらため息が漏れるほどだ。

　女王も王国の魔法学園の出身である。魔法学園を主席で卒業しており、三十年前には人々から「百年に一度の天才」と評されたほどだ。

「あれがウワサの『氷姫』ね。」

　彼女はそう呟いた。誰に言うわけでもない、一人で静かに呟いた。しかし、その声の奥底には何とも言えぬ不気味な感情を含んでいた。

「氷姫の美しさと才能には、ただただ驚嘆せざるを得ないわ。」

「けれど、その輝きは私にとってはまるで嘲笑のように感じるわ。」

　そう一人で呟いた。先ほどよりも大きな声で、何かを決意するかのように。

　女王の心の奥底には邪悪な感情が渦巻いていた。その感情は闇のように内に秘められ、眼差しや声色に微かに現れるのみだった。

　女王は、彼女を抹殺する手段を探った。

　氷姫がいなくなれば、霞んでいた自分の存在を再び輝かせることができると信じていた。

　女王は王国でも強大な魔法使いであり、あらゆる魔法に精通していた。中でも闇の魔法や禁断の呪文を得意としており、その力を用いて悪魔を使役してブランシュ・ネージュ「氷姫」を抹殺するための策略を巡らせた。