メダマススリ

 くそ、またあいつだ。

 一体いつまで俺の前に現れ続けるんだよ。

 昨日は水道の流し台、一昨日は古着屋の試着室。

 今日は有刺鉄線の上に座ってやがる。 

 異様に長い舌をだらんと垂らし、充血した紺色の眼は一切瞬きをせず、目線が常に俺を追う。

 規則的にギィギィと妙な音を鳴らすこいつは、おそらく俺にしか見えていないうえ、毎回大きさが変わる。

 少し小さめの今日はラッキーだ。……いや、ラッキーなのか?


 そして、喋る言葉はいつも同じ。きっと答えたら最後だろう。

 今日もまた、震えながら横を通り抜ける俺の耳にはっきりと聞こえた。


「目玉ぁ、啜っていいか?」

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