婚 姻

闇の中を走る。

頼る光などない。

それでも追ってくる「何か」から逃げるため、

彼は休むことなく走る。


一度でも立ち止まれば捕まってしまう。

捕まれば最後、二度と逃げられない。

あの手が四肢に絡まり身動きがとれなくなる。


だからこそ、彼は走る。

決して捕まってはならない。

決して躓いてはならない。

決して振り向いてはならない。


振り向けばそこには笑った君がいるのだから。

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