第33話 学校の1日目①
森の中を通って、大きな門が見えた。
そこに学校があった。馬車の中では、私は大した話ができなかった。緊張していたせいで、心ここに在らずという感じだった。
「さて、つきましたよ、マリア様。」
サイラスは先にあり私に手を伸ばした。
生徒たちの中心で降りたせいか、みんながこちらを見ている。恥ずかしい。陽の光にあたり私は外に出た。
エスコートした手が離れると、
「ありがとう。サイラス。」
「さて、今度は教室に向かう前に職員室だね。君のクラスは、とてもいいクラスだと思うよ、」
そう言って、彼は案内してくれた。クラスの担任は、タイラ先生で、私は学校に来ても来なくてもいいようだった。留学生であっても、自分の受けたい科目だけで履修できる。
「サイラス案内してくれてありがとう。」
「僕は君と学年が違うから、また帰りに迎えに来るよ。」
そう言って彼は教室に向かっていった。
クラスに入ると奇妙な眼差しを浴びた。するとすぐ金髪の気の強そうなご令嬢が話しかけてきた。
「留学生。あんなしょぼい男の人と登校なんて、やめた方がいいわよ。」
腕を組んでこちらを睨むように言ってきた。その後ろには取り巻きのような三人組が立っている。
「いえ、私はよくしてもらっているので大丈夫ですわ。」
軽く会釈をしてそう答えた。私は席についた。自由席だったので、誰からも離れた席についた。
さっきの女の子たちはこちらを睨みながらヒソヒソと話している。
すると、目の前に赤毛の女の子が現れた。
「こんにちは。初めまして、私はミシェルベンダー。よろしくお願いしますね。」
そう言って笑顔で話しかけてきた。
「私はマリアよ。よろしくね。」
優しそうな女の子に釣られて私も笑顔で挨拶した。
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