第32話 学校の初日

私は上着に手を通し、ボタンんを閉め、大きく息を吸い、朝食会場に向かった。今日は私のウエスターナの学校への初登校日だ。




大きな朝食会場のドアが開かれると、お祖父様とお祖母様がいた。



「おはようございます。」



私は挨拶をした。お祖母様とお祖父様も挨拶を返してくださった。


「緊張しているようですね。」



お祖母様が微笑む、




「そこまでは緊張してないと思います。」



そう答えたが内心ドキドキしている。見透かされていたのか、お祖父様とお祖母様は見つめあって笑った。



「心配しなくても学園はいいところですよ。それにサイラスもいます。初登校日なのでサイラスも来てくれると思いますよ。」



ほとんど朝食を食べ最後の支度をしに部屋に戻ると、イリーナから



「サイラス・ノーフォーク様がいらっしゃいました。」



私の胸がとくんと打ったのがわかった。本当にいらっしゃた。私は約束は軽くしかしていなかったのでてっきり冗談かと思っていた。驚きと少しの照れ臭さが私の感情を包み込んだ。







準備を終え外に行くと、玄関ホールに制服を着た、いつもと雰囲気の違うサイラス様がいらっしゃった。



「おはようございます。一緒に登校して頂けるなんてとても安心できます。」




私はスカートをふわりと持ち上げお辞儀をした。



「おはよう。こちらこそ、初日のエスコートができて光栄だよ。」



そう答えるサイラス様はいつもと違ってメガネをかけ、前髪で少し目を隠している印象を受けた。



「今日はいつもと雰囲気が違いますね。」



私はつい質問してしまった。



彼は少し照れくさそうに、



「そうなんです。私は学校で身分を伏せていますし、この方が私にとって動きやすいのですよ。」




そういうと、彼の前髪から少し見える目と私の目があった。最近は彼の前で少し緊張するが、それが身分のせいなのか、私自身お気持ちの変化なのかわからない。でも、今日は初日だからとても緊張してきてそれどころではない。





「さあいきましょうか。」



そう言って差し出されたサイラスの手をとり、馬車に乗り込んだ。




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