第13話 優雅な朝

思ったよりもゆっくり眠れ、朝は小鳥の音で目を覚ました。優雅な朝だ。ベルを鳴らすとすでに起きていたイリーナが入ってきた。



「おはようございます。お嬢様。朝はなにを食べられますか。」



そう言いながら私に花を浮かべた洗面器を持ってきてくれた。



「そうね。ホテルの朝食をもらってきてくれるかしら、紅茶はこの地域で取られているものがいいわね。」



そう答えると返事とお辞儀をしてイリーナが部屋を後にした。



ジャスミンも今目覚めたのか、あくびをしている。



「ラルク、もうすぐあなたと初めて会った場所に着くわね。そして、あなたの故郷に行くわ。ジャスミンもだけど、私とっても楽しみだわ。」



そういうと、ラルクとジャスミンは笑って


「僕も楽しみだよ。」



「私もマリアといけてとても嬉しい!」



とはしゃいでくれた。私はこの2人が大好きだ。彼らは私にしか見えないことが多いが、私のことを大切にしてくれている。私の支えなのだ。




少しすると朝食が入ってきた。パンやスクランブルエッグや野菜にスープどれもとても美味しそうだ。ナッツもあったので、ナッツはラルクとジャスミンにあげた。お菓子ばかりジャスミンは食べるので時には健康な物をと思ったのは内緒だ。



どのご飯もおいしかった。



「ご馳走様。」



「紅茶は、ここの地域で取れたハーブティーです。お気に召されましたら、ホテル内で買えますので買ってきます。」



そう説明をしていただいて飲んでみると、とても美味しい。いつもの紅茶とは違って心から温まるような感じがする。



「とっても美味しいわ。あとで買っておいてもらえる?」



「わかりました」



アリーナはパーっと明るい顔をして了承した。



ハーブティーには心を落ち着かせたり、健康によかったりいろいろな効果があると聞いたことがある。健康的と聞くと美味しくないかもと考えたが、浅はかだった。私はハーブティーを飲み切ると、着替える準備をした。軽装で普通の女の子のようなワンピースを手に取る。フリルなどが少ないため、家族のお茶会では着られないがとても質が良く着心地がいいのだ。




髪はイリーナがとかしてくれた。イリーナは手が器用なので、パーティーやお茶会ではとても綺麗に髪型を整えてくれた。私のことを一番理解してくれる侍女だ。そして、秘密を知っているし、ジャスミンやラルクも警戒しない。私にとって心が落ち着く侍女なのだ。




優雅な朝を迎えたが、私は湖の様子が変わってきていることになにも気が付かなかった。

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