第2章 新しい門出
第10話 帰宅と出発
家に帰ると心配していた様子で使用人が迎えにきていた。心配そうに見つめる彼らたちに私は笑って
「ただいま」
と答えた。すぐ顔がパーっと明るくなって
「おかえりなさいませお嬢様。」
きっと私の顔は泣いた後のぐしゃぐしゃな顔であったと思うがみんな婚約破棄できたことに気がついたのだと思う。
父や母兄も喜んでいた。私が馬車の中で泣いた時はものすごく心配していたようだった。
いつも通りの豪華な食事の後私の好きなショートケーキとマカロンが出ていた。とても嬉しかった。ほっとして少し泣きそうになったが頑張ってっこらえた。
食事中はたわいのない話をみんながしてくれた。
食事を終えると私は口を開いた。
「私ウエスターナに向かおうと思います。」
みんな驚いて父は紅茶を口からこぼしていて母と兄は目がまん丸になっていた。
「どうして」
気を取り直した父が声を出した。
「元から行ってみたかったのです。私がこの国にいると腫れ物扱いされるでしょうし、私もゆっくりおやすみがしたいのですわ。婚約者として今まで忙しかったですし…。せっかく自由になれましたもの。」
ゆっくり説明した。
「でも、マリアを腫れ物に扱う奴らなんて俺が黙らせるからさ、行かないでおくれよ。行くなら私もついていく。」
兄は今にも泣きそうな顔で訴えてきた。兄はシスコンだが騎士団も持ち経営にも携わり国の会議にも出ているエリートなのだ。
「ダメですわ。エリック兄様を必要とされるかたがいらっしゃいますもの。」
お母様は初めは驚いたようだがゆっくり口を開いた。
「私はマリアの好きなように過ごしてもらいたいわ。寂しいけれど、マリアはずっと行きたがっていたし、これを機会にゆっくり休憩するのは精神的にもいいと思うわ。」
「母様」
父と兄は納得していないようだったがなんとかその場を切り抜け、1週間後に旅立つことが決まった。
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