第8話 裏切りへの成敗②

一瞬でその場が凍りついたのがわかった。そうか、彼はもう救いようがないのか。父が静かに口を開いた。



「これは、私たちが行っていることではありません。ですが、マリアはもう嫁がせません。そして、第三王子の援助ももういたしません。」



「なぜですか!これ式のこと許すべきではございませんか。まして、婚約しているだけで、結婚までの不祥事ではございませんか。それに聞いたところによると、マリア嬢は学園でただ勉強しているだけであって、王子共にいることはほとんどなかったとか…!婚約者として不足していたのはあなた方ではありませんか。」



第3夫人のリテーナが声を荒げた。なんて、愚かなのだろうか、私たちが学園内では婚約者として振る舞わなくとも周知の事実であり、学園は勉学をする場や交流を深める場であって、ただ婚約者に媚を売る場ではない。まして、私は毎日挨拶はしに行っていたし、ご飯を共にする日もあった。ローズ嬢にハマるまでは。




「残念ながら、マリアは毎日挨拶に行っておりましたし、ご飯を食べるところも見ておりました。ローズ嬢にベッタリになるまでは普通の関係であったと思われます。敬遠されていたのは殿下の方でした。また、ローズ様には他にも仲良くされている男性が複数におられます。そのお腹の子も殿下の子とは限りません。ですが、不貞を働いたと公の場で宣言しているわけでありますから、この婚約は破棄とさせていただきましょう。」



なぜか兄も黙っていられなかったようで私の代わりに怒ってくれた。すると、王が声をあげた。



「そうか。では、マリア嬢はどうしたい。」



私は覚悟を決めた。




「私も婚約破棄させていただきたいと思っております。」




私は静かにそう答えた。



「そうか、公の場で恥をかかせてすまなかった。また、誕生日会を壊してしまって申し訳なかった。2人にはそれ相応の罪を償ってもらうつもりだ。」



するとすかさず、父がはっきりとした声で



「それ相応の罪とは何でしょうか。」



「第3王子の権利剥奪と準男爵の地位剥奪、そして、女の腹の中の子は検査次第平民として生きていただこう。そして、第3王子と準男爵家には、誕生会の費用の負担、不貞による婚約破棄の慰謝料を払っていただこう。そして、このことは公に発表しよう。」



父と兄は納得したようでうんうんと頷いた。私は、少しかわいそうに思えてしまったが、仕方のないことだ。


すると、ルークとリテーナ様が声を荒げた。



「こんなの不当です!」


「これはあまりにも酷いではありませんか。」



彼らは不当だと怒って王に訴えている。しかし、王は気に求めず、私たちに、



「ではこれで失礼。このことは、後の弁護人から資料をもらってくれ。」



とだけ言い残して出て行った。それをルークとリテーナ夫人が追って行った。部屋を後にしようとするとき、ものすごい形相で2人に睨まれた。



これで終わったのか…。

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