第7話 裏切りへの成敗
みんなに慰められた翌日、待ちに待った話し合いの場が設けられた。
白と金を基調とし、高い天井にシャンデリア、ところどころに飾られた絵画。よく訪れていた王宮に久しぶりに足を運んだ。今日は父母兄の家族四人で来ているので安心感がある。通されたのは来賓用の部屋の中で一番質素で上品のある落ち着きのある部屋だった。お祝いの場ではないので花ひとつ置かれていない。
到着すると向かい合いの長いすが置いてあり、すでに王様と第3婦人そしてルークが座っていた。
着いて早々、婦人が第一声を発した。
「ローズ嬢を第二婦人にして婚約破棄は絶対に認めません。」
私たちはびっくりして声も出なかった。
「いいえ、私の娘をルーク殿下に嫁がせる気はございません。」
父がすぐさま反論した。すると、王が
「婚約破棄でいいのだ。これはルークが起こした失態により、責任を取らなければならない。」
と一括した。
「ですが、これではルークが……」
「私の時は情勢的に一夫多妻になってしまったが本来一人の男に一人の嫁だ。ましてや、婚約者を持ちながら他の女に手を出し妊娠させるなんてありえん。」
王の時代、権力争いが激しく、王が望まず、一夫多妻にすることで、権力を分散し貴族の一部を押さえるための緊急の一時的対策として撃たれた案だった。なので、王だけの特例なのだ。
そんな話し合いをしるていると、急にドアが開いた。そこにはメイドや執事を押しのけて入ってこようとする一人の男がいた。
「ここでしたか公爵様。初めまして、私メリアーナ準男爵と申します。我が家に不当な圧力をかけるのをやめていただきたくここに参りました。」
「不当な圧力?我が家はそんなことはしておりません。」
ものすごい形相で父が睨み返した。本来目上の貴族に自分から話しかけるなどあってはならない。マナー違反だ。親子揃って常識知らずとは…。父の一声でメイドたちは退いた。
「ですが私の借りていたお金を急に返せという方や、私が取引していた商人や貴族がこぞって私との縁を切っています。これは不当な圧力でしょう。」
自信満々に私たちに難癖をつけてくる。そりゃ侯爵を敵に回した準男爵とはみんな取引しないでしょう。当たり前です。ましてやこの国で一番権力を持ち信頼されている、公爵家ですから。
それでも男は引き下がろうとしない。
「すみませんが後にしていただけますか、話し合いの最中に入ってくるなんて非常識です。」
母が怒った口調で、作り笑顔を浮かべながら注意した。
王がいることにやっと気がついた準男爵は「これは失礼」とだけ言い残して、出ていった。
「ローズの家にまで嫌がらせするなんて最低な家族だな。」
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