第6話 婚約破棄宣言から翌日②
母は、隣国のウエスターナ出身であった。父とは政略結婚だったが、2人は出会った時に一目惚れしたそうだ。だから、今まで仲が良く、私も父と母のような家族を持ちたいと思っていた。
ウエスターナは、このリバル帝国と違って精霊や聖獣などがいる国だ。それでも一部の人しかそれを見ることができない。私が見れるのはきっと母の血を継いでいるためだろう。
ちなみに私は幼い頃ウエスターナに行ったことがある。その時出会ったのが、ジャスミンだ。ジャスミンは、私にとても懐いてくれて私についてきたのだ。ジャスミンは、水色の髪で水色の瞳でとても可愛いのだ。私にとって彼女は親友だ。
「ウエスターナなら私の親戚もいるし、安心できるわ。それにジャスミンやラルクの故郷でもあるわ。」
ラルクとはウエスターナの帰りの森で怪我をしているのに気がつき見つけた。それ以来からも私の親友だ。ウエスターナとリバルの国境で出会ったが、リバルに聖獣はいないので、ウエスターナが出身国なのだ。
私が妖精や聖獣を見ることができるのは、私と父母兄一部の使用人しか知らない。この国でそんなことがわかれば、私はそれこそ政治に利用されただろう。これは、秘密にしてくれた両親に感謝しなければならない。
自分の気持ちを告げた次の日、私の家には多くの手紙が届いていた。公爵家の女性に婚約者がいなくなったとなれば、自分の息子をと婚約願を出してくる人もいれば、私を気にかけて学院の人たちから心配の手紙が寄せられて来た。もちろん、私は求婚のものではなく友達からの手紙を読んだ。
みんな私のことを心配し、あの子がまだ学院の男子に色目使っているので誰の子供かわからないなど、色々書いてあった。
もう別に関係ないのに。
皇室から明日話し合いの場を設けようと言う文書も届いたようだった。父は、私のために色々準備してくれているようだ。兄はキャアは見当たらないが、何かしているみたいだった。
私の気持ちはだんだんと落ち着いて来ていた。ずっとそばにいてくれるジャスミンやラルクのおかげだ。
侍女のイリーナも私を心配して、お菓子やお茶を常に持ってくる。イリーナは、ずっと私に仕えている侍女で、私を心配しているのだ。彼女は妖精たちは見えていないけど、私が見えていることは知っている。
赤茶髪のイリーナは私のもとにくるたび、眉毛を八の字にして目をうるうるさせながら様子を伺ってくる。困り顔だ。
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