第5話 婚約破棄宣言から翌日
私たちの婚約破棄はまだ正式に決まっていないが、父と兄は私を慰めようと私に色々な物を買ってきていた。というか承認をたくさん家に呼び、服からスイーツ動物までもを私に選んでいいぞと待っていた。私が昼まで部屋から出なかったせいもあり、屋敷中大騒ぎしている。
母も気が気じゃないようでローズメリアーナ嬢をどう痛めつけようか作戦を練っているようだ。ちなみにローズ・メリアーナは準男爵令嬢なので貴族でもなくジェントリという区分に入る。要するに階級は男爵より下。公爵家とは比べ物にならない。というか、まず私に気安く話しかけられる立場ではないのだ。
私はどちらかといえば貴族の中でも国民を思う方の貴族で領民からも慕われている。だからこそ、ローズ嬢の振る舞いにも目を瞑っているところもあった。今となってはそれが不正解だったようだけど。
ローズ嬢の家柄からして母が何もしなくとも制裁があるだろう。なぜなら私の家を慕ってくれている貴族がどれだけいると思っているのか。それほど人望の厚い我が家はどんな人でも助け優しくしてきたことから帝国1力を持っている。
だからこそ、第3王子の婚約者に選ばれていたのもあっただろう。でも、第3王子と結婚するのは無理。8個年上の第1王子がこの国の王様になればいいと思うわ。ちなみに第2王子は権力争いには参加せず、やりたいことのために留学中と聞く。3人とも母親が違うため婚約者によって後ろ盾を得ているのだろう。第1王子と第3王子には婚約者がいて権力争いをして、第2王子は婚約者なしの自由人なのだ。
もう結婚は諦めようかな……。
「マリア。おまえはこれからどうしたい?」
父がかしこまって聞いてきた。部屋には父と母兄の4人だけになっていた。
「私は離縁しようと思います。そしてこの騒ぎの中でこの帝国内で暮らすのは私にとって無理なので留学しようかと考えております。」
私は静かにそう答えた。昨日泣き止んで考えだした答えだった。この国にいれば腫れ物扱いだろうし、それに二人を見て耐えられる自信がない。こんなことになっても私は彼が好きだったことが忘れられていない。
「そうか。」
父は悲しそうな顔で答えた。
「あの二人を帝国から追い出して、家にずっといればいいじゃないか。」
兄は悲しそうな顔でそう言ってきた。
兄はシスコンなので私がいなくなることが淋しいのだろう。
母はずっと黙っていたがやっと口を開いた。
「それなら、私の故郷であるウエスターナ帝国に行くのはどうかしら。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます