第2話 婚約破棄②
この場に立ち尽くしていたが兄の声や父の声に目を覚ました。
「私は、そのようなことをやった覚えはありません。まして、婚約はあなたの父である、王様が決めたことです。私やあなたに覆す権限はございません。そして、私は教育に関してもうすでに終わっております。もう何年も前に話してあると思いますが…。」
「そんなの嘘だな。そして、父上がなんと言おうと俺はローズと結婚するつもりだ。」
「そうですか、では、今この場では決められませんので、ご退場を願います。」
そう言って私は、ステージの方へ向かった。兄が心配そうな顔でこっちに向かって来ていた。兄が私の手を取る。
「あいつとは婚約破棄するぞ。あんなバカには付き合っておかない。俺の可愛い妹を傷つけやがって地獄の底まで落としてやる。」
そうか言っている兄は、とても強気だ。彼はこの国に数人しかいない魔法人である。そして、私のことをすごく大切にしてくれるいわゆるシスコンなのだ。さっき黙っていてくれたのは私の口からしっかりと言わせるためだろう。あのまま何も言わなければ、私が認めたことに強制的になっていただろう。
「第三王子、王より伝令です。このまま退場し自宅で謹慎しておけとのことです。それでは参りましょう。ローズ嬢あなたも家に帰って自宅で待機しておいてください。」
「嫌です。ルークどうにかしてください。」
強制的に退場させられているローズ嬢とルーク様を見ているとなんだか気持ちよくなったが、私の良からぬ噂は避けられないだろう。王様は自分では伝えず、従者にその仕事をさせたのだ。こんなに近くにいるのに…。それは、見放したも同然の意をなす。
ぽろぽろぽろ、知らぬ間に目から涙が落ちていた。
「私の可愛いマリアよ。父が必ずあいつらを破滅させてみせるからな。」
「マリア、もう部屋に戻りましょう。今日はここにいても辛いだけよ。」
そういい、母に手を引かれ退場した。母はこの誕生日のパーティーにすごく力を入れていた。家の決まりでできるパーティーは結婚前までなので、来年の18歳の誕生日は結婚を祝うことも兼ねる。私の母にとって最後の娘にできる最高のパーティーだったのだ。でも、もうそれも破壊されてしまった。楽しみにしていたのに…。それを思うと私はもっと涙が溢れて来た。
「お母様ごめんなさい…!わたくし…。」
ボロボロと涙が溢れた。母は私を抱きしめて泣いてくれた。
「いいのよ。あなたのせいじゃないわ。あなたは十分頑張っていたもの。」
そう言って優しく優しく頭を撫でてくださった。
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