婚約者に婚約破棄されましたが私を愛してくれる人ができました。

西園寺 椿

第1章 婚約破棄されました

第1話 婚約破棄

私マリア・フェルモア・ドローティスは今社交会で婚約者に婚約破棄を求められている。私の婚約者であった、ルーク・トーマス第3王子が私に「君との婚約を破棄させて頂きたい。君にはこの国の王子の婚約者になれる器ではない。それに私の恋人のローズ・メリアーナが妊娠しているからだ。君はローズに嫉妬してあろうことか数々の嫌がらせをしてきたそうだな。」


私をキリッと睨みつけていかにも正義ヅラしているアイツに困り顔の狸顔の女で、胸のあいたドレスを着、そしてその谷間にぎゅうとアイツの腕に絡めているのがローズである。


今日は私の誕生日であり、私は17歳を迎えるにだ。私は公爵家のひとり娘で、正面のステージにいるのが父、母、兄である。ステージ側を向いて立つ私の前に王子がいる。ここはこのダンス会場の中心である。それに今日は王子の父親である、この国の王様アスラー様もいる。父と兄は今にでも殴りかかりそうな形相をしており、母は現状を理解しきれていないのかポカーンとしている。なんとなくだが私はこうなることを予想していた。



「ドレスが気に入らないと破り、私と仲良くしているのを見て嫌がらせをし、案の定、私の男に手を出すなとと叩かれ、そしてローズに集団で悪口を言ってくる。」



しかし私はローズをいじめたことはない。ローズがルーク様に気安く触るのを見て、婚約者がいる方に触っては行けませんと注意したことはあった。ドレスが破廉恥すぎる胸がガッツリ空いたドレスを着てきたので婚約発表の場でこのような格好はよろしくないのよ。と話したことはある。破いてはいない。単なるマナーを指摘しただけだ。そして集団で悪口は私が言わせているものではなく周りから見てもマナー違反であるから言われているのだろう。



周りの人たちもヒソヒソと会話している。とんだ恥晒しだ。私は婚約者を寝取られた可哀想な女と評価され、このような場で不貞を堂々と告発している彼らも嘲笑われている。



「よってお前は修道院送りで許してやろう。俺の大切な人をいじめた罰にしては軽いだろう。」



誇らしげに言い放った。


は?



「お前にそのような権限はない。」



ステージ上の兄が口を開いた。怒っているのが遠くからでもわかる。私は少し呆気に取られて何も口を開いていなかった。動揺していたのだ。



「認めているんだ。証拠もある。さようならだ。」


そういうと彼はグッとローズを引き寄せ見つめあった。まだ困り顔のローズにもう大丈夫だよと小声で言っているのがわかる。



「それにお前妃教育の途中で放り投げたではないか。お前に妃の資格はないだろう。」



放り投げた?そんな覚えはない。婚約前も勉強していたため、妃教育は5年のところを1人で終わり、その後の4年は好きな勉強をしていたが、1年で王宮で学ぶのはやめて、大学や家での勉強に変えたのだ、学園に通いながらだと移動時間にロスがあるからだ。今日も朝のうちに教授のフレーメルと異国の魔法学を学んでいた。よくそんなことが言えるな。自分が放り投げたの間違いではないか。



すると小さい声で


「マリア、あの2人ここで素っ裸にしてあげようか?」


妖精のジャスミンが言ってきた。ジャスミンは異国の妖精であり、私の親友だ。今は誰にも見えていない。このことを知っているのは家族とフレーメルと一部の家来だけだ。


だめよ。


「えー。マリアを傷つける奴は許さない。」


私の心を読んで諦めてくれた。一歩も動けずにいた。とても恥ずかしいし、悔しいし、自分で思っていた以上に悲しい。今までの努力はなんだったのだろう。

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