第3話 私と第三王子

その夜家族会議がなされていたが私は出なかった。それよりも気持ちを落ち着かせるのが精一杯だった。あんな人でも私は愛していたのだ。ジャスミンが私を慰めてくれる。お花をとってきたり、私の頬を触って話しかけてくれているが何も聞こえていない…。ベットに座った状態で顔をうつ伏せている場所は、枕の代わりのように聖獣のラルクがいる。そのもふもふとした毛に包まれながら私は涙を流していた。



ラルクは特に何も言わない。ただただ私が落ち着くのを待っていてくれた。私はその晩ずっと泣き続けた。



私と第三王子は、6歳の時に会った。それは妃候補が集まるお茶会の場だった。つまらなくて、私はお庭を散歩していた。初めて会った彼は道に迷っていた。


「あなた迷子?」


そう尋ねると、彼は


「お茶会が嫌で逃げて来たんだ。」


と答えた。私と同じ理由だったので意気投合し話しているうちに見つかった。



お茶会が始まってから、それが第三王子であることを知った。



そのあとはとんとん拍子にことが進み、私が選ばれ、妃教育に取り掛かることになった。12歳から妃教育を受けていた。彼はたまに私のところに顔を出し、おしゃべりをしてくれた。彼は少し頭が悪かったが、そんなことは私がカバーすればいいと思い、勉学に取り組んだ。彼をこれから助けたい一心で…。彼が私に笑って話してくれるのは私だけだった。



15歳からアカデミーに通い始めた。家族の子供たちはそれ以前は家で家庭教師を雇って勉強するのが当たり前だったからだ。私はアカデミーですぐ頭角を現した。私は勉学が得意だったのだ。幼い頃から本が好きで知識を集めることが好きだった。私にとってアカデミーはいろいろな人の意見が聞けるとても楽しいところだった。




その頃からか第三王子と距離ができてしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る