第3話
フリードリヒ・ヴィルヘルム3世。後世に暗愚であると伝わっている。外交面において、ナポレオンを信用しておらず、アウステルリッツ敗戦の報が届いた時には対仏同盟に加わろうとしていた。なぜ、彼がナポレオンを信用していなかったかというと、彼の王妃であるルイーゼが反仏・反ナポレオンであることが影響していたとされる。そして、ナポレオンに対する宣戦布告を第四次対仏大同盟の加盟国への相談なしにしてしまう。内政面においては、軍隊の改革を送らせ、旧態依然としたまま放置し、イエナ・アウエルシュタットの戦いでの大半をもたらした。その結果、エルベ川より西の領土を、ポーランドの一部を失った。此れにより、人口の半分を失った。巨額の賠償金、軍隊の人員の制限などを科された。
これらの困難を克服するために行われたのが、かの有名なプロイセン改革である。内容として、教育、司法、行政、軍隊などと非常に多岐に渡っている。
この改革を成し遂げ、各国と連携し、ナポレオンの何倍もの近代的軍隊を揃えて雪辱を果たすことに成功した。
私はこのようなことを椅子に座りながら、考えていた。そして、正直なことをいえば、ヴィルヘルム3世が生き残れたのは運を多分に含んでいると考えている。何故なら、ナポレオンと戦争を始めてわずか33日でプロイセン軍の損害は死者2万人、捕虜14万人、大砲800門、軍旗250本に達しているからだ。条約締結直前、プロイセンが実行支配出来ていた領土は東プロイセンだけであり、頼みの綱であったロシア帝国は敗北が重なり、手の平を返したようにナポレオンと講和してしまったからだ。
このまま歴史の流れに身を任せれば生き残れるかもしれない。しかし、それは薄氷の上を渡るようなものであり、かならずしも私の知っている歴史と通りに行くとは限らない。生き残るためには、富国強兵を成し、ナポレオンに対抗するしかない。
私は、目標をナポレオンに対抗できるような国に改革することに決めた。思い立ったが吉日ということで、私は、今のプロイセン国内外の現状を調べることにした。幸いなことに私は前世からの知識を持っている。そして、将来は国政に関わることが出来る立場にある。
そこで私は、まず父であるフリードリヒ・ヴィルヘルム2世の事について調べ始めた。彼の功績や評価などを知っているが個人的な趣味、嗜好などは知らない。仲良くするためには趣味、嗜好を知ることは大切だからだ。
私は、色々な人に父について聞いて回った。曰く、芸術、音楽そして女性を愛している浪費家であると。特に女好きについては特に酷いということが分かった。例として私の母とは、二回目の結婚であるということだ。一回目の結婚相手は不義密通を理由として離婚したらしい。そして、今はその相手を監禁しているらしい。中々のサイコパスではないだろうか。
しらべた事を整理しながら、これはヴィルヘルム三世も父の事を嫌いになる訳だと思った。しかし、このよう男がプロイセン国王の中で最も多くの領土を多く獲得すとは歴史は何とも不思議なものである。
解説
フリードリヒ・ヴィルヘルム2世
フリードリヒ大王の甥であるが、大王に嫌われている。不義密通の罪で、自分の元妻を71年間監禁しているが自分は愛人に確認されているだけで、8人産ませている。
音楽、芸術を愛しており、ドイツ文化を花開かせることになる。ベルリンの街を整備し、ブランデンブルグ門を作ったのもこの人。しかし、芸術、街の整備などに多大な金を使用し、大王が残した莫大な遺産を僅か1年で使い切ってしまったりしている。ポーランド分割によって、プロイセン国王の中で最も国土を拡大した王様でもある。後世において「肉の機械」と呼ばれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます