93.にゃーのお迎えに行く
にゃーがお出かけして、僕がお留守番だよ。毎日違う人が遊んでくれる。メリクもにゃーのお手伝いだって。
ルミエルと花の種を植えて、絵本を読んだ。新しい言葉も覚えたよ。次の日はゼルクと籠を作ったの。にゃーとコテツ用に大きくしてもらった。
サフィが来た日、小鳥が痛くなっていた。赤い血が出てるし、動けないみたい。一緒に治して見送ったの。元気に過ごすといいな。今日はシュハザを待ってる間に絵を描いた。上手だって褒めてもらって、嬉しい。
指を一つずつ畳んで、あと一つ。明日はにゃーが帰ってくるんだよね。嬉しいな。
お家の中でゴロゴロしながら、メリクと過ごす。何かして遊ぶのかと思ったら、ずっと寝転がって過ごす遊びを教えてもらった。何もしなくて、ゴロゴロするの。普段のにゃーの真似だよ。
「ご飯は食べなくちゃな」
「うん」
起きてお座りする。お膝の上でご飯を食べて、僕もメリクにご飯を運んだ。あーんは美味しいご飯を、もっと美味しくしてくれるよ。お腹いっぱいに食べたら、またゴロゴロした。
お昼寝も寝転がったままで、その後もゴロゴロ。いっぱいメリクとくっついていた。時々イタズラして、こちょこちょされる。ムズムズするから逃げた。追いかけるメリクの指を避けて、あちこち転がって、でも捕まったりして。
いっぱい笑ってすっきりする。それに楽しかった。メリクとずっと一緒も嬉しい。こうやって休む時間も大切なんだって、メリクは僕の頭を撫でた。
「明日はにゃーを迎えに行こうか」
「おむかえ? いく!」
夜のご飯を食べて、お風呂も入った。ちゃんと足の先まで綺麗に洗ったよ。ベッドの上から、まだにゃーがいない籠を見つめる。あの籠に入ってくれるかな。
「きっと気に入ってくれるさ。今日は何の絵本がいい?」
まだ読んでいない絵本を並べるメリクに、これと指差した。読んでもらった絵本は、動物が描かれている。犬が猫と喧嘩して、仲直りするお話だ。ちゃんと謝って終わりになった。
ありがとうと読んだお礼を言ったけど、ちゃんと聞こえたかな。うとうとしていて、あまり覚えていない。でもメリクが笑った気がした。
朝起きて、すぐにお着替えをした。顔も洗ってご飯も食べる。全部終わったら、帽子を被った。メリクに抱っこされて家を出る。
「俺から離れたらダメだぞ」
頷いた。大丈夫、僕はメリクの首にぎゅっとするから、離れないよ。メリクから、俺も離さないぞと返ってきた。メリクの指がパチンとなって、知らない場所に移動する。前にもあったね。
メリクと遊びに来た場所みたい。砂がいっぱいで、柔らかい光がキラキラしていた。
「にゃーは、ここにいる?」
「あっちだな」
メリクが指差したのは、山になっている砂。そこをにゃーが走ってきた。白と茶と黒が入った猫だ。僕の方へ来る。嬉しくなって笑う僕を、メリクは砂の上に下ろした。後ろから抱っこするみたいに包んで、二人で手を広げる。
まっすぐ走ってくるにゃーは、止まらずに僕に抱きついた。後ろに倒れちゃうと思ったけど、メリクが支えてくれる。
「おかえり、にゃー」
「イル、ただいま」
え? いま、にゃーが喋った!
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