第12話 合法ロリ先輩 ②
「……あなた、あわよくばって考えてたでしょう」
「な、なんのことだか……」
こいつエスパーか?
しかし、しかしだな。誤解しているぞロボよ。
「そもそもかなり年下なんだぞ? 大学生の俺が高校生の子供に欲情なんかするわけないだろ」
「あれ。ぼく三年生だし十八歳ですよ」
「……そ、それでも高校生だし」
「三年後の未来からきていま二十歳なんでしょう? なら本来僕の方が年上ですし、きみは冬香ちゃんと同年代です。というわけで子ども扱いはナンセンスですね」
どうしよう年下のロリっ子に言い負かされてる。
いや、年下じゃないのか? 本来なら年上ってことは先輩なのか……?
「じ、人生経験が豊富だぜ」
「二年なんて大して変わらないでしょう。それに一応学園には在籍中ですけど、研究とか学会の都合で僕も大学行ってますよ」
「…………」
「タイガ、何で黙ったんですか。他に誇れるところないんですか」
「う、うっせ」
「……なるほど、アルコールの味を知ってることくらいしかアドバンテージがないんですね。典型的なダメ大学生なんですねタイガは。ですが、たとえ学生とは名ばかりのポンコツでも私はタイガの味方ですからね』
「ああぁぁぁッ!!!!」
くそっ、大人を舐めやがって、このメスガキ……ッ!!
「お兄さん口喧嘩よわ~い」
「て、てめっ……」
「やーい、ざ~こ」
「調子に乗るなよガキっ!」
「やるつもりですか。えい、先制攻撃」
「いでっ! こ、この野郎っ、ついに殺してやる!」
「んぎゃっ……!」
そのままロボと取っ組み合いになったものの、研究室を汚すなとのことで博士に窘められ、俺たち二人は正座をさせられたのだった。研究者こわい。
「まったく……さて、では柏木大河くん。これからは僕のことを小倉秋乃”先輩”と呼ぶように。いいですか」
「はい……
「い、いきなり名前呼びとは。……大胆な距離の詰め方ですね。嫌いではないけど……」
何で照れてんだコイツ。
「年の近い男の子と接したことがあまりないからかもしれませんけど、実は博士ってチョロいかもしれません」
「マジで。ワクワクしてくるな」
「んっ、何か言いました?」
「なんでもないです……」
しかも難聴キャラ。年上マッドサイエンティスト百合狂いロリっ子体型お姉さんチョロイン難聴キャラとか属性盛りすぎだろいい加減にしろ。
ともかく、この小倉秋乃という少女がどういう人物なのかは大体わかった。フットワークも非常に軽く、今後は最も世話になる相手かもしれない。
ロボのこともあるし彼女とは最後までうまく付き合っていきたいところだ。
しかし輝く翼のアルレイドがほぼ秋乃の創作作品である以上、日常生活においては俺が見てきたあのアニメはあまり参考にならないことを念頭に置いて行動しないといけないらしいな。
「おまたせぅうっひゃァ!? ちょ、柏木くん! なんで男の子に戻ってるのよ!?」
あ、うるさいのが帰ってきたわ。
しょうがない、変身だ。
ピカー、シュゥゥゥーッ、どん。
「これでいいですか♡」
「い、いいけど……不用意に戻っちゃダメよ? せめてわたしの部屋にいるときにして頂戴」
「はーい……♡」
ここ数日間いっしょに過ごしていたこともあってか、異常な行動はあまりしていない俺を見て冬香の態度も軟化してきているようだ。
男がバレたのは誤算だったが、冬香にしても秋乃にしても序盤のコミュニケーションはそれなりに成功しているらしい。
「冬香ちゃん、少し彼を甘やかしすぎではないですか? 安全を考えるなら部屋にいるときも戻ってはいけないと考えます」
「ぅ……小倉先輩もそう思いますか。やはりこの不審者にはいっそう厳しくしたほうがいいですよね、えぇ、そうしましょう、調子に乗らせないように。ほら立ちなさい! 乳揉むわよ!」
「あひィっ!♡ クソこのロリっ子め余計なこと言いやがって♡♡」
スパルタに戻ってしまった冬香に連れられて部屋を出ていく俺。
後ろで「また来てね~」という声が聞こえたような気がしたが、嫌な予感がするのでしばらくは訪れないようにしようと心に誓ったのだった。
(安代田冬香、それから博士でヒロインは二人目ですね)
(お前も大概エロゲ脳してるな?)
(タイガのモチベーション維持のためです。ちなみに博士は私を先に攻略しないとルートが出現しません)
(前座ヒロインムーブなんてしなくていいから……お前は俺の相棒だろ、ロボ)
(はい出た~明らかにヒロイン攻略を意識した発言~。あざとすぎるのでマイナス五億点です)
(何で信頼を見せたら煽られなきゃなんねぇんだよ、ぶっとばすぞお前)
(そんな度胸ないくせに~♡ ざ~こ♡)
屋上へ行こうぜ? 久しぶりにキレちまったよ……。
「このガキッ!!」
「わひゃあっ!? な、なによ急に!?」
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