18話
道端で倒れるヒバナに、大将と呼ばれた男が近づく。
「あーあー、みっともねぇなあ、ヒバナ。救いたい女に守られて、逃がされて」
立ちあがろうとするヒバナを踏みつける。
「行かなくちゃ」
「やめろ。あの子の想いを無駄にする気か」
しかし、ヒバナは大将の足に抗い立ちあがろうとする。
「諦めろ。例え、お前が行こうとも、お前は何もできずに死ぬ」
「そんなこと、わからない!」
「いいや、わかるな。あいつの強さは異常だ」
【無敵】のリニア。
それが主人の総称。
「如何なる攻撃をも通さない。この船、オリオン最強のサルベージハンターだ。勝てる筈もない」
「そんなの、俺が1番よく分かっている!!」
1番、近くで見てきた。
1番、長く見てきた。
主人の栄光を、名声を、圧倒的な強さを。
偶然でも勝つことなど、あり得ない。
そんなの分かっているのだ。
「でも、俺は行かなきゃならない」
「なぜだ? 彼女のためとは言うなよ。彼女のためを本当に想うなら、お前は諦めて逃げるべきだ」
ヒバナの起き上がる力が強まり、足を押しのけてしまう。
「諦めろ! 諦めてしまえ!! なぜ、諦めない!」
そうイラつく大将に、ヒバナは笑顔を見せる。
「だって、まだ希望はある」
「お前には何が見えている! お前には絶望しか残っていないはずだ!! 世界は、運命は、お前の敵だぞ!!!」
「あんたが何を見てきたかは知らない」
ヒバナは笑顔で立ち上がる。
「昔から俺が見えているものはたった一つ。アレスの笑顔だけだ」
「っ」
「あいつの笑顔が見れるなら、俺は何度だって立ち上がってやるんだ」
ヒバナは決意した。
「俺はあいつの英雄だから」
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