第72話 久しぶりの城に帰り、溜まった手紙を見るヒダール達
「よーし、じゃ馬車降りて中入るぞぉ」
「「はーい!!」」
久しぶりの帰宅!
ちょっとテンション上がりながら、ガガガ!!! と、開いた正門から、中へと入る!!!
っで!
「「「「「『『『『『お帰りなさいませ。ヒダール様、メナス様、アラコ様』』』』』」」」」」
結構デカい城の中で、家事をしてくれているメイドや執事たちに挨拶し。
「ああ、出迎えご苦労。そうそう、配下たちへの土産があるから、あとで渡してくれ。ああ、お前たちの分もあるから、適当に抜いておきなさい」
「かしこまりました。ありがとうございます。他の者たちも、ヒダール様の心配りに、感謝するでしょう」
「はは、嬉しいな。っで、家や島は変わりないか?」
「はい。海賊や軍船吐きましたが、全て滅ぼしました」
「よろしい。では、他に何か変わったことはないか?」
身近にいた家令の老人に、配下への土産配りを支持しながら。
変わったことがないかと聞いてみた。
多分、何かあるだろう。
必殺技取得・クエスト関係の何かが!!
「はい、家の中は特に問題ありませんが。外から、かなりの数の手紙が来ております」
「! そうか。手紙はどこに?」
「旦那様の部屋に、運んでおります」
分かった。では、しばし手紙を見るとしよう。
飲み物を部屋に運んでくれ。
「かしこまりました」
よし、さっそく手紙を見よう!!
そういうことで、俺とメナスとアラコは、長い廊下を歩き、階段を上り!
3階にある、俺の部屋へと! 入ったのであった!!
っで!
「うわ、これ全部手紙? すっご!」
「手紙のタワーみたい! わあああ~~~!!!」
「……予想以上の数だな。よーし、手分けして見るぞ!! 必殺技取得クエスト関係を探すんだ!」
「「おおお~~~!!!」」
数多くの手紙!!!
それこそ、タワー何個ぶんかの、手紙の山を!
仕訳に入ったのサァァあ!!!
うおおおおお!!!
「ふむふむ。こっちは、音楽の依頼みたいね。王族・貴族から、是非にだって」
「モテモテですねぇ~」
「まァ、これでも売れっ子だからなァ。でも、貴族・王族関係は、正直めんどい」
あいつら、支払いはいいけど、口出しとか人間関係がうざいんだよなァ。
リクエスト守らないと、評判下がるってのはまァいいが。
問題は、一曲作れば子供に、孫に、先祖に、一族に作ってくれと頼まれることと。
あの一家を貶める歌を! うちの名誉を称える歌を! 誕生日・パーティーの歌を!
っと、ひっきりなしに来ることである。
暇なときは、クエストが発生しまくって面白いし。
パーティーに招待されたり、パーティーで歌ったり、殺人事件を阻止したり、推理したりするクエストにもなるから、俺は好きではあるんだが。
今、必殺技取得クエストが最優先だからなァ。
正直、断りたい。
ちなみに、断ったら、がっつり評価下がってしまうが。
俺の場合レベル110で、マスター・バードだからね。
そんな下がらないうえに、適当に作った歌でも、大感激。
城建つレベルのおひねりを、ジャラジャラもらえる存在だ。
故に、適当に曲作って、稼ぎつつ。
次のクエストにつながる手紙を、保留にしてもいいのだ。
うーん。
「まァ、適当に作って出すか」
金はいくらあっても困らないしね。
さっきの海戦での経験に、アクセントを加え! 音楽を作って送ろう!
うん! 俺の作曲は、経験を音楽にするって方法だ。
音楽ができる人なら、楽譜描いたり、即興で演奏したのを記録して、曲にできるが。
俺の場合は、『自身の冒険を歌にする』という魔法を用いて、歌を作っている。
作曲のルールや方法知らなくても、結構いい曲ができるのでお勧め!
そういう訳で!
「えー、大海原の雄大さと、海賊船と海軍の砲撃! 乗り込む勢いと、敵をぶち殺すアグレッシブさをベースに! 相手を称えるエッセンスを追加!これで、『貴族を称える歌』! 作成!」
「あと、二人の愛を祝福するで『結婚式のお祝いソング』、危険と敵を倒し! 出世してくれで『貴族の孫へのハッピー・バースデー・ソング』! 店のイメージと売りたい商品の情報で『大商人の宣伝ソング』っと!!」
作りまくって、送りまくり!!!
じゃんじゃん書いて、クエストを消費し!
稼ぐぜぇ! ウイーーー!!!
っと、やりまくったのだった!!!
んで。
「よし! あらかた、作曲依頼は、終わったな! んじゃ次は」
「これですね。ファンレターです!」
「すごい音楽をありがとう! あなたの曲で人生が変わりましただって!」
ああ、ファンレターか!
100枚集めると、歌と演奏の能力UPして、音楽攻撃&バフ能力&回復能力上がるから、ストックしよう!
「「はーい!!」」
「あ、ヒダール。こっちは?」
ん。メナス。その手紙は鳴海会に送って。
アンチからの手紙だから、消してくれって。
「はーい!」
うん! いい返事で、アンチレターを仕分けしてくれてありがとう!
その調子で頼むぜ! ええ!!
……そうなんだよなァ。このゲーム、ファンレターだけでなく、アンチレターも届くんだよなァ。
最初の頃は知らずに見て、ブチ切れたもんだ。
内容としては、『俺の方が歌美味い』とか、『添削してやるから作曲してよこせ』とか、『めちゃ下手くそでワロタWWW 握手会しろ! 俺の店で!』って奴なのね。
いや、なんで見ず知らずの相手に曲送ったり、バカにしてくる奴の店で握手会せねばならんのだ。
意味わからんぞ。マジで。
「だいたい、俺のバックには、不死身の海賊団がいるってか、俺がその頭領だし。なんなら、鳴海会がプロデュースに噛んでるから、下手すりゃ殺されるんだよなァ」
実際に殺してるしねええ。
俺達不死身の海賊団で消したのは、今までで26人。
鳴海会が動いて消したのは、45人だ。
マジでアンチは気を付けろ。
死ぬぞ。マジで。
「っで、そんな鳴海会と、不死身の海賊団。あと、悪魔の海賊団と、ファッキン・マシンガンズから依頼よ」
「えーっと、リオンとキャミーからは、ノリのいいロックを! 鳴海会から、商売UPの経済ソングを所望だって!」
「ああ、いつものね。えー、悪魔の海賊団からは、ジョリー・ロジャーの誕生祝い!? 実家の城でやるから、招待&生演奏希望!? マジで! イクイク!!!」
めっちゃテンション上がったわ!!
これは絶対に行かなきゃ!(確信)
「ファッキン・マシンガンズからは、腹の底まで響くようなハードロックが欲しいって」
「……依頼料は、あ、珍しい。前払いだ。前は、なかなか払われなくて、ドスヤクザに取り立て頼んだからな。OK。作ってやろう」
身内からの依頼は、基本断らない。
いつも世話になってるし、協力関係の仲間だからな(獲物を盗む二丁マシンガンは除く)。
だから、それなりにいいものを作るとしよう。
悪魔の海賊団は、名前演奏だから取材が欲しいな。
リオンとキャミーも、新しい曲にしたいから取材。
鳴海会も、経済爆上げのパワーを得るなら取材。
ファッキン・マシンガンズには、俺の全力をたたきつけたいので取材。
……。
全部取材やんけぇぇえ!!!(ガビーン)
「あと、挑戦状だって」
「こっちも! 歌バトルしようって!」
はいはい、歌バトルねぇ~。
えーっと、『歌バトルしようぜ! 指定した条件で、受けなかったらお前の負けな!! ちゃんと、クレイジー・小林さんに負けたって言えよ!!(原文ママ)』 はいはい、ドスヤクザに依頼依頼。
クレイジー小林さんの死体で、ドレミファソラシド奏でてやってくれ。
いや、しかしマジで取材必要だな。
これは、必殺技取得クエストと両立できれば、取材旅行船といかんかもね。ええ。
っと、そうやって!
次々と手紙を捌きに捌き!
ドンドン消化していくと!!
「! あったよ! ヒダール! 必殺技習得・クエスト! 暗殺旅行!!!」
とうとう、必殺技取得クエスト!!
島々をめぐって、暗殺する! 暗殺旅行指令が、見つかったのサァァあ!!!
フーーー!!!
「よし、やろう!! 殺しながら、音楽作るぜ!!」
「「イエーーー!!!」」
こうして、俺達は城を飛び出し!
殺しの旅が、始まったのであった!!!
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