第27話 ぶっ飛ばされた不知火当麻! 最終決戦は加速する!!


「おい、起きろ当麻!」


「!? っは!」


 呼び戻されて、エクターから意識が戻った不知火当麻。


 彼は、周りを見渡して、『自分を囲んでいる、巨大な半透明の手と、見覚えのある仲間』。


 そして、『絶対に見つかってはいけない人』を見て。


「!」


 現状を把握し、背筋を伸ばした。


「ごめん、彩音。俺が沈黙してから、何秒たった?」


「約5秒。多分、エクターがやられたんだろうね」


「ああ、やられてる。クールタイム90秒って、やっぱり多いなァ。すまん」


 狩人の服に、ミニスカート装備の彩音との会話をしつつ。


 当麻は、己のエクター『紳士なのぞき魔ジェントル・マーモン』を見て、クールタイム90秒というのを見た。


 そう。さっきまでの、茜達を見ていたのは、彼のエクトプラズム。 通称・エクターの能力! 『紳士なのぞき魔ジェントル・マーモン』の能力だったのである。


 それが、先ほどの戦いの余波で消滅し、今すぐには使えない。


(戦場で、カメラ役がやられるのはヤバいよなァ。俺のミスだ。あー)


 自分のミスに、彼は頭を抱えた。


「いや、そういうこともある。HPは?」


「あ、俺完全遠隔型で、ダメージ還元ないから減ってないよ」


「そうか。じゃ、報告!」


「はい!」


 くよくよしている暇はない。まだ、ゲームは終わっていなんだから!


 そう切り替えて、彼は後ろを向き。


「ヒダールの呪いで、広範囲に毒がまかれました! 規模としては、半径100メートル! 全員猛毒です!

また、毒が盛られる前から、プレイヤーは押されてました! さらなるバフをした方が良いかと!」


 そう、仲間たちと『彼』に報告!


「なるほど。毒か。まずいな……」


 当麻の報告に、彩音が深刻そうに呟いた。


 彼女は、この周りを囲んでいる全体な手。半透明な巨人の手で、『彼らを守り、姿を隠している』。


 『見えざる手インビジブル・ジャイアン』のエクター使いである!!


(私のエクターは、直接攻撃・魔法・銃撃から守り、姿を隠せる。でも、呪いは防げない)


(ヒダールのように、呪いで毒をやられたらマジで防げないぞ。どうすれば……)


「おい、彩音。今は毒より、プレイヤー支援を考えた方がいい」


「え」


「ヒダールの呪いが俺らに来る可能性もなくはないし、悪役令嬢の同士討ちも来るかもしれん」


「でも、その前にプレイヤーがやられてる。来るかもしれん毒や呪いにおびえるより、目の前のプレイヤーを助けた方が効果的だ」


「飛田さん……」


 カルマ・スキルの存在にどう対処するか。それに没頭仕掛けた彩音を、現実に戻したのは、飛田。


 眼鏡をかけた、ローブ姿の魔術師であり。


「いや、現実問題。はやく、彼らにバフでも回復でも毒消しでも撃ってくれ! 俺の『爆撃インコバトル・バード』じゃ、上位の奴らは狩れない! あいつら、マジで強すぎ――斬! ファァァッッッッ×××!!!」


 遠隔操作のエクター『爆撃インコバトル・バード』を飛ばし! 遠くのPKを、狙撃や爆撃で倒している!


 3人の仲間の中で、唯一の遠隔アタッカーなのだ!


 なお、2丁マシンガンに狙撃され、顔真っ赤の模様。


「わ、分かりました。飛田さんそうですね」


「ここは、毒打消しと回復でいいと思います。それで盛り返したところに、飛田さんの『爆撃インコバトル・バード』を合わせて、攻撃を仕掛けるってことで」


「そうだな。そうしよう。では……」


「お願いします。チャリン・スキーさん」


「ええ、良いですとも! では、『毒消し』! 『回復』! 範囲拡大! それ!!!」


 そして、そんな彼らに守られている! チャリン・スキーが! プレイヤーたちに、支援魔法を行う!!!


 ああ、そうだ! 実は、イベントが始まってから、チャリン・スキーは当麻、彩音、飛騨の三人とともに行動し! 


 彩音のインビジブル・ジャイアンで隠されながら!


 当麻のジェントル・マーモンで、戦況を聞き! 


 飛騨の『爆撃インコバトル・バード』と協力して、支援攻撃をずっとしてきたのだ!


 これが、プレイヤー側の作戦!!!


 PKからチャリン・スキーの存在を隠し、チャリン・スキーの魔法でプレイヤーを強くして、勝つ! である!!!


 万全を期すために、数人のプレイヤーにしか知らされていない作戦だ!


 実際、この作戦は、上手くいっていた!!


 初めは、勝ったり負けたり、森が吹っ飛んだり、地面が揺れたり! 爆炎が上がったり! を繰り返していた戦況であったが!


 この戦術を使用してから、プレイヤーがPKを押し! PKがリスポーンすることが増えてきたのである!!!


 無論、上位PKの先頭の余波や、悪役令嬢の同士討ち能力によって、プレイヤーも死にまくってはいる。


 しかし、それでも下級~中級のPKが、下級~中級のプレイヤー軍団と戦った際!


 勝てる割合が、少しづつ! 高くなってきたのだ!!


 これにより!


「静かな森の南西部だ! こっち探してるけどいないぞ!!」


「北部だ! キャプテン・ビリー、おらず!!」


「東の方にも着たが、見てない!! あ、PK見つけた! やる! せいやァ!!!」


 なんとかPKを倒したプレイヤーたちが、キャプテン・ビリーを探す!


 うむ! エクターによる支援を、上位プレイヤーに集中させ! 下級~中級のプレイヤーで、開戦当初から行方をくらませた! キャプテン・ビリーを探せるのだ!!


(これで、PKを狩りつつ! キャプテン・ビリーを探せる!)


(あっちも、俺らと一緒のこと考えてたんだろうな。でも、手数はこっちの方が豊富! 俺らが有利だ!!)


 そう考えながら、当麻は報告を聞き!


 地図に、その情報を書き込んで! いない場所をつぶしていく。


 その結果。


「……あれ?」


「ん? どうした? 当麻?」


「何かわかったか?」


「ああ、彩音。飛田さん。それが地図を埋めていったらさ」


「あと探してないのって。というか、報告がない場所って」


 俺たちの、周りだけじゃね?


 と、言おうとしたその時!!! 


 ――!!! ド ッ ガ ァァァ!!!


「「「!? うわァ!!!」」」


「!!!」


 インビジブル・ジャイアンで、隠れてる! 当麻、彩音、飛田、チャリン・スキーのもとに! 


 大爆撃が、起きッッッ!!!


 周りの地面を抉って、木々を飛ばし! 濃い土煙を上げながら!!!


「探したぜぇ。チャリン・スキー。さァ」


「イッツ・ショータイム!!!」


 キャプテン・ビリーが、来たのであった!!!


「「「!!!」」」


 ビリーを見た瞬間、彼らは動いた!!!


 当麻は、電撃魔法を用いて明かりを作り! 同時に、影魔法を用いて、キャプテン・ビリーの影を拘束! 動きを止めに行く!!


 彩音は、当麻の影魔法で動きを止めたキャプテン・ビリーに、攻撃を加えるため! インビジブル・ジャイアンで、全力の巨人パンチを繰り出し!!


 飛田は、まだ使えない爆撃インコバトル・バードの代わりに! ロケランをぶっ放した!!!


 っが!


「邪魔だ」


「「「!?!? うわあああ!!!」」」


 当麻の雷魔法と影魔法は、キャプテン・ビリーの『影そのものが、大砲となり』! ドカン!! っと撃たれて、ぶっ飛ばされ! 


 その衝撃で、彩音のインビジブル・ジャイアンのパンチはノックバックされる!


 そこに、飛騨のロケランが当たり!!


 盛大に、大爆発!!!


 その爆炎と衝撃に3人は吹っ飛ばされ! 森へと消えていき!!


 チャリン・スキーだけが、この場に残ったのだ!!


 故に!!


「オラァ!!!」


「ふん!!」


 ――ガッキィィィンンン!!!


 チャリン・スキー VS キャプテン・ビリーとなるのは、当然!!!


 激戦の火ぶたが、落とされた!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る