第19話 伝次郎、潜入ミッション!! PKアジトに潜入せよ!!


「フー! 緊張するなァ! 大丈夫かなァ」


「大丈夫だって! 私もついてるから!」


「ああ、頑張るよ! うむ!」 


 はい。シルフィ……弓とナイフ装備で、緑を基調とした狩人のドレスを着たエルフ……に、言われながら、森に潜んでる俺です!


 えー、なぜこうなったといえば、うん。

 

 このまま、俺とシルフィで。


 PKのアジトに潜入する事になりました!!(ド緊張)。


 ……どういうことか、説明しよう。


 まず。


「よく来てくれたな! 冒険者たち! さっそく作戦会議をしよう!!」


 シルフィに呼び出されて、ギルドに行けば。


 そこに、複数の冒険者たちがいて! 


「実は、最近活発になったPK潜入に対抗するために。我々も、PKのアジト潜入に、力を入れることになった!!!」


「そのため、PK達をおびき寄せる、陽動チームと、潜入チームに分かれて! 活動していこうと思う!!!」


「目標は、PKの暗殺と、アジトの破壊だ! 潜入チームになれば、アジトである岩山まで案内が付く。そこからは、各自調査でやってくれ!」


 っと、言われたのである。


「そういうこと! 私はスパイ・ゲームの経験者だから! 一緒に潜入しようよ! 伝次郎!」


「いやどす」


「えー」


 んで、スパイ・ゲーム大好きのシルフィに、潜入チームに入ろう! と言われたが、これを拒否!


 できるわけないじゃん! 絶対バレるって!


 やるなら、陽動一択だから!


 ということで、会議を仕切っているプレイヤーに話をしたら。


「あー、まァ、個人の向き不向きはあるから、配慮したいんだが……今回の作戦は、陽動より、潜入の方が重要なんでな。陽動チームは、1チームしか組んでないんだ」


 と言われたのサ。


 んで。


「じゃあ、そのチームより俺らが強ければ、陽動にしてもらえるんですか!?」


「あー、まァ、そうだな。強い方がいいし。うん」


 なんとか無理に頼み込んで、陽動チームとバトルを行い。


 勝てれば、陽動チーム入り! 負けば、潜入チーム入りで、勝負したのよ。


 で、完封されました。


 はい。


 茜ちゃん、桃ちゃん、唯ちゃんの3人には、勝てなかったよ……。


 いや、マジで強かった。


 俺が頼み込んで、しぶしぶ戦ってもらったシルフィも、開始直後には本気で戦ったし。


 俺自身も、もちろん! 全力で戦った。


 でも。


(守護霊・ガードを発展させた唯ちゃんに、サイバー・ビーム流の桃ちゃんのラッシュ。それで、動きを止められてるうちに、茜ちゃんの魔法が炸裂して、終わりとか。やべぇよ……)


 聞けば3人とも、俺よりレベル上の40レべだった。


 森でPK達と殺し合いして、ガンガンあげまくったらしい。


 しかも、唯ちゃんとか、守護霊・パワー・モードとかいう、サイバー・ビーム流みたいな技開発してるし。


 桃ちゃんも、ガンガン攻めながら、カウンター取ってきたり、投げ織り交ぜたり、テイク・ダウンとってきたり。普通の武術家より、厄介!!!


 っで、それに気を取られてると、茜ちゃんの特大魔法が炸裂!!!


 チームワークに、一人一人のバトル技術が、高い!!!


 そりゃあ、30レべ付近の俺とシルフィじゃ無理だ。無理。


 レベル高い上に、対人経験豊富! 


 無理ですわ!! ええ!!!


 という訳で。


 茜ちゃんたちに迷惑開けてごめんなさいして、シルフィにも『付き合わせてゴメン。頑張って潜入やるわ!』っと、謝った。


 皆笑って許してくれて、本当に良かったよ!


 優しい世界やで!! ええ!!


 っと、まァそういう訳で。


「そろそろ、茜ちゃんたちが戦うかな?」


「そうね。戦いだしたら、潜入スタートね」


 鎧を着こんで、剣と盾装備の俺と!


 弓矢とナイフの、エルフなシルフィは! 


 森に隠れて、合図を待っていた……。


 その時!!


 ――ドンドンドン!!! ドッガァァあ!!!


・茜

こちら、陽動チーム! PKと戦闘開始!


・桃

結構多いよ! 5人は連れてる! ちぇいや!!!


・唯

私の守護霊・パワー流で、防げてるわ! 

このまま攻めるので、潜入チームは任せました!!!


「「!!」」


 森で陽動チーム! 


 茜ちゃん、桃ちゃん、唯ちゃんが、大暴れ!!!


 うむ!


「はァ! 格闘サイバー・ビーム流! せやァ!!!」


「!? こいつ、はや!? うお!?」


「ラッシュがヤバイ!? ぎゃあああ!!!」

 

 聖なるビームを体に纏い! 光の速度で移動し! ラッシュする!


 桃ちゃんの、格闘サイバー・ビーム流が! 多くのPKをぶっ飛ばし!!!


「守護・パワー流! 覚醒! っはあああ!!!」


「そこぉって、は!? 弾かれ! ぎゃ!」


「流れを使え! それで簡単にカウンター!? え、掴まれた!? 幽霊に!? ぐわあああ!!!」


 攻撃されても、自動でパリィを成功させ! カウンターを、叩き込む!!!


 唯ちゃんの、守護・パワー流! シンプルに強い!!!


「いっくぞぉ!! 魔法・サイバー・ビーム流!! それえええ!!!」


「こいつ、魔法が早!? ぐわあああ!!!」


「なんでこんなに早いんだ!? ぎゃ!!」


「チートや! こんなんチーターや!」


「はよBANしてえええ!!! ぎゃあああ!!!」


 光の速度で魔法を放ち、光の速度で移動する!


 光速の、魔法砲台!


 茜ちゃんの、魔法・サイバー・ビーム流!! やっべえええ!!!


 っという風に!!!


 彼女たちの力が、PK達を倒していく!!!


 その混乱にまぎれて!


「よし、変装だ! PKになって! いくよ!!」


「お、おう!!」


 俺たちは、PKに変装し、岩山へ!!


 アジト潜入に、向かったのである!!!


 で!


「よーし! 岩山アジトに来たね! 入り口を探すから、周囲警戒してて」


「分かった!」


 特に戦闘もなく、岩山アジトにやってきた!


 ああ、デカい山だ。


 シルフィ曰く、PKたちはこの中や、地下にアジトを作っているらしい。


 で、スパイ・ゲームの時には、それらに通じる入り口が出るのだが。


 それは、見極めないとヤバいのだとか。


「複数の入り口で、難易度が違うんだ。安全なのは、モンスターや罠が少ないが、ヤバい入り口から入ると、即死の罠部屋や、高レベルモンスターの部屋。もしくは、有名なPKたちとの戦闘部屋に送られるよ。私も、1回だけPK部屋に繰られたけど、あれはヤバかった」


 うわァ。それはヤバそうだなァ。


「だから、風魔法での調査が必須だよ。風魔法で、撫でるように。岩山を探るんだ。そこで、違和感を感じたら、その感じ方で見極める」


「特に、今回は潜入チームが複数いるからね。入り口は、一つのチームが入ると消えるから、彼らが入る前に、安全な入り口を見つけたいね」


 え、マジか!


 そりゃあ急がないとヤバイわ!! ええ!!!


「大丈夫そうか?」


「まァね。すでに、何箇所か見つけてるけど、これらはヤバイ部屋のようだ。下にはないってことは、上に。あ」


「!? っど、どうした?」


「下で見つけた、ヤバい部屋への入り口。複数あったんだけど、消えた」


 え。それって……。


「潜入チームが入ったね。しかも、ほとんどの」


 ……わァお。


「ヤバくね?」


「ヤバいね。これで、私たちもヤバい部屋へ入ると、暗殺や破壊工作はできない。いや、PK相手だったら、殺害はできるかもしれないけど。情報収集という面で、作戦は失敗に終わる」


 マジか。マジかァ。


 った、頼むぜ! シルフィ!(震え声)


「任せろ! 私は、ほぼ毎日スパイしているからな! 実家のように分かる!!」


 お、おう。そうか! 


 ……実家のようなPKアジトか。ちょっと、嫌かも。


 でも、まァ、任せたぞ!


 シルフィだけが、頼りだぜ!! ええ!!


 っと、シルフィの成功を願いつつ!


 周りを見ていると!!!


「! 見つけた! 多分あれが正解の扉だ!」


 ついに、シルフィが見つけたのである!!!


「あれだよ! あの、岩山の! すっごく高い所!!」


「え、あれ!? あ、マジだ! 扉がある! あるけど、ええ!?」


 おいおいおい!! どうやって行くんだよ! あんな場所!!!


 ああ、シルフィが見つけた入り口ってか、ドアは! 岩山の、かなり高い場所だった!!


「あー、そうだねぇ。PKたちは二段ジャンプと攻撃を用いて、ジャンプ→攻撃→ジャンプ→壁蹴り→二段ジャンプや、ジャンプ→壁走り→二段ジャンプで、かなり高い場所まで登れるらしいんだ。だから、生粋のPKなら、普通に逝けると思うけど……」


 それは、変装している俺らもできるのか?


「……無理だね。プレイヤーだから、2段ジャンプや、壁走りはない。別の方法で行こう」


 なるほどなァ。


 どうするんだ?


「ところで、伝次郎。水魔法は使える?」


 使えるぞ。メイン魔法の一つだ。


「じゃあ、ここに移動して! っで、足元に水を出してくれる?」


 OK。


 はい、ウオーター!


 ――ブッシャーーー!!!


 いつも通り、すごい勢いの水が出ております!!


 ああ、気持ちいい~~~!!!


「よし、じゃ! 凍れ! 氷結魔法!」


 ――カッキィィィンンン!!! ピキピキピキ!!!


 って、うお! 氷った!? 


 っわ!?


「!? 俺らを乗っけながら、氷が上へ伸びていく!?」


「ははは、驚いたでしょ? これが氷柱エレベーター! スパイ・ゲームで、PKアジトの潜入先が高い時! 使う技術の一つだよ!」


 へー! すげぇ!!!


 さすがは、スパイ・ゲーム大好きっ子!


 経験が違うねぇ!! 


「へへーん!!!」


 得意満面な顔をする、シルフィ! 


 そんな彼女と一緒に、俺は! 氷で、ぐんぐんと登り!!!


「ここだ!」


「よっと!」


 高い場所にある、入口へと! 入ったのであった!!!


 すると!!


 ――転移魔法・発動! 


 ――全ては、白日の下にさらされる!!!


 ――プレイヤーの変装は解かれ、転移された!!!


「「え。わ!?」」

 

 転移魔法! 発動!!!


 気が付けば!


「お、来たぞ! 二人だ!」


『一人は、鎧の剣士! もう一人はエルフか!』


「見るからに近接! もう一人は遠距離!」


『これはいいぞぉ! 楽しめそうだ!!』


「今後の指標になりそうだな!!」


「「!!!」」


 コロセウム!!!


 うん!


 PK達が、観客となって席を埋め尽くす!!


 闘技場の、ド真ん中にいたァァあ!!!


 ええええ!?!?

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