第14話 実習
「「今日は一日よろしくお願いします!」」
「はい、よろしくお願いします」
あれから数日が経ち、職業体験の実習日になった
結局俺は、飲食店で希望を出し、先輩達が言っていた通りたい焼き屋さんに来ていた
ちなみに、図書室でたい焼きの話をしていたら関も興味を持ち、一緒にたい焼き屋に来ている
「えっと、赤松君と関さんだね。今日一日二人の担当をする田井あんこです」
「同じく担当する
田井さんと八木さん。二人の苗字を合わせるとたい焼き・・・
しかも、下の名前はあんこと堅・・・
たい焼き屋をするうえでこれほどぴったりな名前も無いだろう
「まず、今日2人にやってもらうのは実際にたい焼きを作る調理係をやってもらおうと思います。二人は料理したことはある?」
田井さんが今日の一連の流れを教えてくれるらしい
「いえ。俺は学校の調理実習でしか料理したこと無いです」
「私は実家が料理屋なのでその手伝いでしたことはあります」
前者が俺、後者が関。渡辺の家は居酒屋でこの街で1,2を争うほど人気のある居酒屋である。その理由は―――――――――――――――――――――――――
「うん?料理屋で関って、もしかして駅前にある"ふくや"かい?」
そう、一番大きな理由として居酒屋は駅前にある。この街は人口こそ少ないが、多くの人がその駅を利用するので仕事帰りの人が多く訪れたりする
俺も、母親と一緒に行ったことがあるが、店の中はとても活気があった事を覚えてる
「はい!ご存じなんですか?」
「たまにうちの店からも行かせてもらってるんよ。女将さんによろしく伝えといて」
「わかりました!伝えておきます」
自営業のある元で産まれるとこういう事もしないといけないのか。面倒だな
俺の家は自営業では無いので分からないが、常連さんの名前を覚えなければいけなかったり、その人の特徴を覚えなければいけなかったりすると面倒だと感じてしまう
「まあ、雑談も程ほどに早速たい焼きの作り方を覚えてもらおうかな」
「「よろしくお願いします」」
それから、田井さんからたい焼きに詰めるあんこの準備を教えてもらい、八木さんから型に生地をどう流し込むのか、あんこをいつ入れるのか、焼き時間は何分なのかという事を教えてもらった
「あと、焼いてる途中でも、お客さんが入店したら挨拶はきちんとしてね」
八木さんがたい焼きの焼き方を教えながらそう伝えてきた
「わかりました!」
関が元気よく返事をする
一通り焼き方を教えてもらった俺達は早速八木さん監督の元でお客さんに出すためのたい焼きを焼いていく
「ふぅー。大ちゃん暑いねー!」
「ほんとにね。ずっと火の近くにいるってしんどいな」
「でしょ。これを一日続けなきゃだめだよー」
俺達の会話に八木さんも入ってくる
「けど、思ってたよりたい焼きを焼くのは簡単でしょ?」
「そうですね。正直もっと複雑かと思ってたんですけど、やってみると楽しいです」
「私も楽しいです!」
「よかったよかった。今日はぜひたい焼きの焼き方を覚えて帰ってね」
「「わかりました!」」
八木さんは最初の自己紹介の時は少し厳しそうな印象だったが、しばらく話してみると気さくな人だという事が判った
「ほら、お客さん入ってくるよ」
「「いらっしゃいませー!」」
それから最後まで、俺と関は特に問題を起こさずに田井さんや八木さんと話しながら楽しく過ごせた
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