第12話 はじまる新学期

 今日から夏休みも終わり、2学期が始まる

 夏休みの間に大きく環境が変わったこともあり、学期始めなのに、新学年に上がった時のような緊張感を持ちながら俺は登校していた。夏休み中は卓球部メンバーにしか顔を合わせずにすんでいたが、今日からは、他の子とも顔を合わせなければいけない

 特に、正樹と顔を合わせる事がとてつもなく嫌ではあるのだが、割り切るしかないと思う


 教室に入ると朝練習があった他の部活の生徒達が教室内で集まっていた


「あ、大ちゃんおはよー!」


 そんな中から、関が元気に挨拶をしてくれた


「おはよー。夏休み終わってしまったな・・・」

「それなー!もう夏休み終わるとか早すぎん!?まだ夏休みの宿題びみょうに終わってないんやけど!」

「わかるわー。俺もまだ終わってないやつあるしなー。早く終わらさな松本先生に怒られる・・・」

「なんや大輝まだ宿題終わってないんけ」


 俺達が会話をしていると、恭輔と姫川もやってきた


「恭輔に姫川もおはよー。二人はもう、終わってるよね」

「当り前よ!」

「大ちゃんも琴ちゃんも早く終わらしやー」

「頑張るマス」

「やるだけやります」


 恭輔も姫川も優等生なので、宿題は当たり前のように終わっている。というか、夏休みに入った時には8割がた終わらしていたと誰かから聞いた覚えがある


「まあ、流石に松本先生を怒らさんようにだけは気を付けるわ」


 夏休み中に何度か松本先生が怒る場面があったが、一度起こり始めると鬼のように怖くなるので、卓球部員はなるべく松本先生を怒らさないように活動していた


「よぉ大輝。久しぶりやな」


「・・・久しぶりやな、正樹」


 卓球部のメンバーと話していると、正樹が話しかけてきた


「お前なんでバスケ部やめたん?」


「別にいいやん。正樹には関係ないやろ」


「いや、お前が抜けたせいで、1年生全員俺が面倒見なあかんねんけど」


「良かったやん、簡単に部長になれて。これまで、俺でも1年の面倒見れてたんやから行けるやろ」


「はあ?勝手に抜けといてその態度は無いんちゃう?」


「いいやん。ほっといてくれ」


 正直、正樹とはあまり会話をしたくなかったので、強引にでも会話を終わらしに行く


「もう言うこと無い?」


「なんなんまじでその態度。むかつくわぁ」


「勝手にむかついとけば?じゃあね」


 教室を見回してみると、周りの空気が完全に冷めていた

 申し訳ないと思う一方で、正樹と会話をしたことで俺の機嫌も少し悪くなっているので黙って自分の席に戻る


「大ちゃん大丈夫なん?」


「んー、まあ大丈夫やろ。流石にこれ以上は突っかかってこうへんやろうし」


「ならいいんやけど・・・」


 関は俺に気を使ってくれているが、流石の正樹でも教室で暴力を振るってくることは無いと思う

 これからしばらくは、正樹と言い合いになることも多いだろう。それに対して俺が言い返すようなことになれば、またありもしない噂が流れる。それなら、適度にかわすように意識をしなければならない。もっと言うなら、関わらないようにしなければいけないという面倒くさい対応を取らなければいけない

 


 そんな事を夏休み明けすぐに考えなければいけないことが苦痛だ

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