第6話 初日

 卓球部に入り、3日が過ぎ俺は1年生と共に基礎練習をしていた


(思ってたよりも、俺の事を受け入れてもらえたな)


 俺は卓球部の練習に合流した日の事を思い出していた


《3日前》


「ふぅ、流石に緊張するな・・・」


 俺は松本先生からの連絡で知らされていた集合場所の前でうろちょろしていた

 まだ集合時間までは15分ほどある。あまりにも緊張しすぎて早く来すぎてしまった


「ある程度覚悟は決めてたけど、流石に当日になると緊張感が半端ない・・・」


 小心者の俺の面が全面的に出ており、俺は誰が見ても落ち着きがない人になっていた


「あれ?大ちゃんここで何してるん?」

「関か、おはよう。今日から卓球部に入る事になったからミーティング場所に来てるんやけど、ここであってるやんな?」


 集合時間が近づいてくると、卓球部に入っている関琴音が不思議そうに話しかけてきたので、ここにいる理由と集合場所の確認を行った


「え!?大ちゃん卓球部に入るの!?そうなんや・・・場所はここであってるよ!」

「良かった・・・今日から合流やからめちゃくちゃ緊張してたんよな」

「そういや、なんで卓球部に変えるのかも気になるけど、なんで今日からなん?」

「一昨日の試合が先輩たちの引退試合やったやろ?引退直前に入部したら先輩たちにも迷惑やし、気を使わせるかなって思って松本先生と相談して今日にしたんよ。理由は、まあ、バスケ部で大きな怪我をしすぎたからかな」

「なるへそ!確かに大ちゃんこの前まで骨折してたもんね!そういえば、小学校の頃から大ちゃんが包帯巻いてる姿めっちゃ見てる気がするなぁ。いままで何回骨折したん?」

「小学校を合わせると、確か・・・4回かな?」

「そんなにしてたんや、どうりで大ちゃんの包帯姿を見慣れてると思った」

「ま、そんなこんなで、これから卓球部でお世話になるのでよろしく」

「うん!よろしくね!」


 初めに合ったのが関で助かった

 関は同級生の中でも仲がいい方だったし、彼女は性格的にも八方美人な面が強いので、これからの事情説明においてもかなり助かるだろう


 それから、他の卓球部のメンバーもぞろぞろと集まってき、他のメンバーにも同様に俺が今日から卓球部でお世話になる事を伝えると、皆それぞれ驚いていたが流石に長い付き合いなのもあって受け入れてくれた

 1年生たちはまだ俺という存在がどういう存在か分からないからか、話しかけてこなかった。俺も同じで話しかけれなかった

 全員が集まりミーティングが始まると、松本先生からこれからの練習スケジュールと今日の練習メニューを伝えられ、その際に俺は1年生の練習に合流するように指示があった。俺が今日から卓球部に入るという事は先生からの連絡としては伝えられることは無く、あくまで俺が周りに説明するというスタンスになった

 この対応は俺的にも大変助かり、部員全員の前で自己紹介みたいなことをやらされては個人的に後悔処刑並みの事だったからだ


(今日の練習での目標は基礎を覚える事と1年生の顔を出来る限り覚える事だな)


 俺は心の中で今日の目標を決め、松本先生の言葉を聞いていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る