第4話 嫌なこと

 バスケ部に入ってから半年

 俺はビギナーズラックで初めこそはそれなりに上手くプレーできていたが半年も経てば、俺はバスケ部で一番下手な存在になっていた


「おう大輝!今日も朝早いな!まだ朝練まで時間あるぞ」


 一人で朝から自主練をしていると脩斗先輩がやってきた

 朝練は7時半からの30分だけだが、俺は7時から学校に来て部活の準備を全て終わらして自主練をしていた


「いや、バスケ楽しいんで早くやりたくて」


 これは少し嘘である

 バスケが楽しいのは本当だが、朝早くから練習している本当の理由は下手な自分を変えたいからである


「けど、正樹もまだ来てねえし、準備は一人で終わらしたのか?」

「そうですね。一人で出来るのでやっちゃいました」

「一人で出来るのでって、ボールかごも重いし、全部のゴール出したりしたら流石にしんどいだろ」

「いやいや俺はこれくらいしか出来ないんでとりあえずやっときました。それに、練習してるのに準備はしてない方が不自然でしょw」

「それは確かにそうか」


 俺が所属しているバスケ部には3年生が3人と2年生が10人そして1年生は2人だけとなっていた。その1年生のもう1人が東谷正樹である

 正樹はバスケは未経験だったが、この半年で急激に上達した。それこそ俺よりも下手だったが、今となっては俺よりも上手くなり本人も口には出さないが、俺の事を最近は下に見るようになってきていた


 それからも自主練をしていると朝練習になった

「集合ー!朝練始めるぞー!って正樹は?」

「いないっすね」

「またか、最近こうへんなったけどサボりか?大輝今日正樹に言っといてくれ」

「わかりました来るように伝えときます」


 3年生で部長である吉田は正樹が来ていないことを気にしていたが、俺には来ない理由が想像できていた


(どうせまたサボりだろうなぁ)


 それから朝練習をしていたが、結局正樹は来る事無く朝練習は終了した


「おはよー!」


 朝教室でダラダラしていると正樹が登校してきた


「正樹!吉田君が朝練来いって言ってたぞ!というかなんで来んかったん?」

「あ?大輝に関係ないやろ。朝から予定があったねん」

「なら昨日の段階で伝えとけよ朝から皆気にしてたぞ!ってこれ前にも言ったやろ」

「わかったわかった。うるせえなー」


 こんな調子の正樹にイライラしつつも、ここから先は俺が言うべきではないと思い引き下がった


 中学に入り部活に入部すると、その部活メンバーがグループのような形になり、2人しかいないバスケ部はただでさせ孤立しているのに加え正樹との仲も悪いので俺は完全に立場が孤立していた

 一方正樹は部活こそ孤立しているが、近所の連中とは相変わらず仲が良く、周りとのコミュニケーションは取れていた


 担任が来て朝学活が始まると、担任から連絡事項を伝えられた

「11月末に文化祭があるけど、1年生はそれぞれ先生が決めた班で調べ学習をしてもらい、その内容を模造紙にまとめて発表してもらう形になった。班メンバーはこの後クラスの掲示板に貼っとくから各自確認しとくように。」

「先生ー!調べ学習ってなにについて調べるんですか?」

「それは今日の6時間目に発表するから、それまで待ってて」

 今が9月12日だから、文化祭まで2か月半ほどしかないという事らしい


 朝の連絡事項が終わるとそのまま授業時間になり、また退屈な時間が始まった


 数学の授業中先生から

「この公式、次の中間テストに出す予定やからおさえとけよー」

 という言葉が聞こえたことで、中間テストまであと2週間しかないことを思い出す


「大ちゃん中間の勉強してる?」


 休み時間に入ると関から声をかけられる


「いや、まだ全然やってない、けど、国語以外はまだ大丈夫やと思う」

「マジで?この前のテスト大ちゃん合計何点やったん?」

「375点やね。まあこんなもんやろ」


 5教科全体で500点満点中の375点周りと比較しても高くも低くも無い点数である


「え?大ちゃんこの前のテスト全然提出物出してなかったのにそんなに取ってんの?」

「まあ、提出物やってなくても、授業で聞いたこと覚えてたりするし、授業中は教科書眺めてること多いからじゃない?」

「正直もっと低いと思ってた」

「おう、失礼だな。不真面目なのは提出物だけやぞ」


 そんな事を言いながらも周りからの自分の印象を聴けたのでいい機会だと思っていた


 それからもテストの事を適当に考えながら授業時間を過ごしていった

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