第3話 入部
「そういえばテニス部の見学はどうだった?」
「良かったよ。練習もしんどくなかったし、色々教えてくれたし、ラケットで打たせてくれたし」
「えー楽しそうやん!良いなー!陸上は見学からきつかったぞ」
「まじ?なにしたん?」
「筋トレと1キロ走。しかも1キロ走に関してはペースごとに班に分かれて走るけど、一番遅い班でもそれなりに早いからかなりしんどい」
「え?1時間見学時間あるのにメニューそれだけ?」
「筋トレがガチでしんどいからな・・・」
小西と話していると最後には小西の目が遠い所を見ていた
「どんだけきついんだよ陸上部・・・」
行きたくなくなってきたぞ、いく事を想像するだけで身の毛がよだつ
「なんの話してるのー?」
何も知らない関が話しかけていたので、話題と陸上部の見学内容を伝えてあげると顔を青くしていた
「え、今日私陸上部に行くんだけど・・・」
今日の犠牲者が決定したらしい
俺は心の中で手を合わせながら言葉でも労う事にした
「どんまい、来世は良い事あるよ」
「え!?私今日で死ぬの!?」
「だって、ねえ?」
「正直関じゃきついかもな、俺も今日は筋肉痛でまともに動ける気がせん」
小西からもそう言われた関はさらに顔を青くしていた、どんまい
それから適当に雑談をしながら過ごしていると先生が来て授業が始まった
授業が全て終わるとバスケ部の見学のために着替えて体育館へと向かった
バスケ部では筋トレメニューがほとんどなく、基本的にボールを触らせてもらいシュート練習がほとんどになった
「あれ?大輝やん」
「あ、秀介君やん。やっほー」
シュート練習をしていると話しかけられ振り向くと近所に住んでいる一つ上の先輩である野本秀介がいた
「そういえば秀介君バスケ部やったな。完全に忘れてた」
「大輝もバスケ部入る?小学校の頃からバスケ好きやったやろ?」
「そのつもりやで、今のところバスケ部入ろうって考えてる」
「お?お前バスケ部入るんけ?」
「え?はい…」
「まじ!じゃあよろしく!」
「大輝、この人の名前は脩斗な」
いきなり知らない先輩に話しかけられ驚いたが、どうやら脩斗という人らしい
それにしても、まだ入部届を出していないのにもう後輩扱いしてくるとは、なんとなくだか慣れないテンションだ
「中臣脩斗な、よろしく!」
「赤松大輝です。よろしくお願いします」
こんなハプニングもあったが、その他には特に問題なく体験することが出来た。
他の部活も問題なく体験を過ごし、全部の部活を見学出来た
前情報通り陸上部の体験では地獄を見ることに成功し、次の日には笑うことすらしんどいくらいの筋肉痛に襲われることになった
どんな筋トレをしたかについては、あまり思い出したくない…
全ての部活体験が終了し、次の日の学活で全員に入部届が配布された
「今日のこの学活の時間に提出してもらうからなー。ただし、しっかりと考えてから書けよー」
俺はあまり悩むことなく部活動名に「バスケットボール部」と記入し先生に提出した
帰宅してから、あまり機嫌が悪くない間に冬香に部活の事を報告し、「まあ、良いんじゃない」という言葉に安心しながらベッドについた
今日は珍しく1日を平穏に過ごすことができたという事をベッドに入ってから気づいた
そしてそれから半年、俺は周りの同級生からさらにハブれることになり、部活内でも周りとの距離感が出来てしまうようになっていた
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