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昔のように喫茶店に入って向かい合って座ると、あの頃のわたしの視線と違う自分がいることに気づいた。
季節の移ろいは何一つ変わらないなのに、わたしは変わり続ける。人の気持ちは流れるように季節に溶けていく。
「ここの紅茶、久しぶり!」
ちょうど1年前だった。こうやって同じ状況で
『他に好きな人が出来た』
あの時
部活の先輩に憧れた一人の女子高生が、バレンタインデーに想いを告白したら、彼女になっていた。
それまでの人生で恋愛経験など皆無だった者同士が出会い、二人で思い出を重ねてきた。
放課後の制服デートを楽しんだり、休日に待ち合わせして出掛け、海が見える夕べの公園で唇を重ねた。
わたしの
その事に後悔はしていない。ううん、最初の相手が
そんな関係を重ねていく内に、
こうした日々が続いていくうちに、何時の間にかお互いが違う道を選んでいた。
だからなのかもしれない|。
『優斗の好きにしたら良い……』
わたしは部屋を出て、新しい住まいに移って大学院に進学することにした。
落ち着いた頃には、
――少しやつれた?
「紅茶を飲むと、
「当たり前でしょう? わたしが淹れた紅茶は世界一なんだから!」
「……そうだったね、忘れていたよ……」
わたしも目の前の紅茶を一口飲み込む……ちょっと苦かった。この季節に合わない気がして嫌な気分になった。
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