組立工

 僕は目を開ける。体が痛い。どうやらソファの上で寝てしまったようだ。思い体を上げて、僕は寝室へ行く。彼女は一人でそこに横になっていた。その肌は白い。

 台所へ行き、5分ほどかけてベーコンエッグを作る。ケチな僕はベーコンを1枚しか使わない。そして作ったのは一人前だけだ。むろんベーコンエッグは僕の物である。

 そういえば昨日は夜ご飯を食べていないはずだが、不思議と腹はそこまで減っていない。僕は時々考え事をしながら、だらだらと朝食を食べた。

 まだかなり時間に余裕があったので、本を読んで暇を潰す。僕は湖のようにだだっ広いような時間を、ベルトコンベアの組立工のように無感動な調子で、ただ貪る。

 やがて時間が来た。すでにスーツは身に着けている。僕は目を閉じて、パタンと本を畳む。そろそろ会社に行かないといけない。

 ドアを開け、既にボロくなった革靴を履く。そして外に出て、カギを閉める。

 その時も、彼女はまだ寝ていた。

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