しっぽのついたシュシュ

阿部蓮南

しっぽのついたシュシュ

「ぜひ来て」の文字がつないでくれるのは三年分の音符と詩性


当日も赤くはしない唇で同じパートを歌う宣言


推しなんて身近でいいの自転車は予習の場だと思う正午に


結晶の言葉が歌に似合うから砂糖の色の心で聴くよ


これで合うならば音って速いんだ舞台の幅は大また十歩


ソプラノの休符で吸って思い出はメロンソーダの二酸化炭素


耳と胸は直通だって思えるよため息までにラグがないから


知りたくてずっと手にあるプログラムそれはすくったアイスみたいだ


ポップスと合唱曲のきずなばしがホールの高いとこにあるはず


音感は動物の本能なんだその手首にしっぽのついたシュシュ


傾きで線路を覚えているように肌から離れないビブラート


気持ちにも赤、緑、青あったよね 歌う君って初夏のおひさま


メゾピアノで始まる曲が好きになる晴れた観覧車に乗った日も


英語でのいちからよんの発音が今はリュックにない電子辞書


おとなしい優等生であるけれど楽しむことを秘めたリーダー


ぼくのする拍手ぱちんとこだまして有観客のパズルのピース


語彙力をなくしてバックハグをしてやっぱり声は猫に似ていく


歌声の記憶力しかないもので社会科使わないって話


ぼくも充電できた チャットの吹き出しに歌詞より多い言葉が光る


おひさまのものでありたいはずだから高声用は歌わないまま

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

しっぽのついたシュシュ 阿部蓮南 @renalt815

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ